トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(2) 路面を選ばないホットハッチからターマック志向へシフト セグメントを超越するカリスマ性

公開 : 2026.10.22 18:10

ラリー・ホモロゲのトヨタ GRヤリスに、好戦的なエアロキットで武装したエアロパフォーマンスが登場しました。280psの1.6L 3気筒ターボと四輪駆動システムが生む刺激的な走りを、UK編集部が確かめます。

往年のドッカンターボ的な走りの刺激

往年のドッカンターボ的な、強刺激な走りを2026年に楽しめるトヨタ GRヤリス。今回試乗したエアロパフォーマンス仕様では特に、エネルギッシュでダイレクトな特性を堪能できる。現実的な環境で極めて速く、クラスの枠を超えた運転体験へ没入できる。

1.6L 3気筒ターボエンジンは、ブーストの上昇のタメが程よくあり、ドラマチックさを醸成。アクセルペダルを深く踏み込むと、タービンの高音が耳に届き、3000rpm手前から盛り上がるトルクの山は痛快そのもの。これが、ヤリスなことを忘れるほど。

トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)
トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)

フェイスリフトを経て、5000rpm以上でのパワフルさも増長されている。高域ではアクセルレスポンスが鋭敏になり、トルクの立ち上がりは漸進的。排気ガス規制が強化される一方の昨今、従来以上に軽快に吹け上がる特性を得たことを、称賛したくなる。

0-97km/h加速は、回転数を高めて一気にクラッチを繋げば5.3秒。約50km/hから110km/hへの中間加速も、約5.2秒でこなす。0-400mダッシュは13.7秒。お値段を踏まえると、もう少し鋭くても良いかもしれないが。

トラクションとスタビリティ重視のシャシー制御

GRヤリス最大の特長といえるのが、小型犬のようなやんちゃな走りにも、驚くほどの安定性でラインをヒタヒタ辿る走りにも、対応すること。秘めた能力を踏まえれば、挙動の落ち着きには唸らされる。

トルセンLSDは積極的には介入せず、左右の回転差へ反応するように、受動的に路面へトルクを伝える。そのため、現代のドライバーズカーでは一般的な、トルクベクタリングを効かせた旋回や、延々とドリフトし続けることが得意というわけではない。

トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)
トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)

グリップの限界領域では、トラクションとスタビリティが重視された制御だと感じられる。シャシーが本領を発揮するのは、フルアタック時だが。

現実的な環境で間違いなく理想的な挙動

カーブへ意欲的に飛び込み、アクセルペダルを戻しながらの回頭性は、小柄なボディと相まって敏捷。濡れた路面では、特にその傾向が強い。

エイペックスを過ぎパワーを展開すれば、ラインを保持しつつ、速度を穏やかに高めながら脱出できる。2000年代の、高性能な四輪駆動モデルのように。

トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)
トヨタ GRヤリス・エアロパフォーマンス(英国仕様)

興奮度は屈指といえないが、現実的な環境では間違いなく理想的な挙動といえる。接地感は高く、中速コーナーでパワーを展開すれば、押し出されるような積極性も楽しめる。その間、アウト側のタイヤはしっかりラインを掴み続ける。

サスペンションは、低速域では若干揺れが神経質。ダンパーの減衰力が強すぎるのかもしれない。高速域では滑らかに転じるが、2024年の改良前より許容範囲は狭まった印象。全般的に路面の凹凸を拾いがちで、上下動の動きが強めだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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