フィアットがミニバンへ回帰? 「次に来るトレンド」に備え、斬新な『ムルティプレイ』コンセプト量産化を検討

公開 : 2026.10.23 07:05

フィアットが先日公開したコンセプトカー『ムルティプレイ』はSUVとピックアップトラックを融合させたモデルですが、次世代のミニバンとして量産化される可能性があります。新CEOは「非常に意義深い」と語っています。

SUVは確かに格好いいが……

フィアットの新CEOアルノー・ベローニ氏によると、斬新なコンセプトカー『ムルティプレイ』は、ファミリー層向けの新型車として量産される見通しだ。

先日のパリ・モーターショーで初公開されたムルティプレイは、SUVとピックアップトラックを融合させたデザインが特徴だが、その大きな車体と広々とした室内空間は、3列シートと型破りなスタイリングを採用した1998年のミニバン『ムルティプラ』へのオマージュとなっている。

パリ・モーターショーで公開されたムルティプレイ・コンセプト。
パリ・モーターショーで公開されたムルティプレイ・コンセプト。    AUTOCAR

ベローニ氏は記者団に対し、ムルティプレイは「わたし達にとって極めて重要」であり、「非常に意義深い」と語った。

「ラインナップにファミリーカーが必要だと、わたしは確信しています。フィアットのファミリーカーとして、世界的に、少なくとも欧州全域で共感を呼んだ唯一のモデルはムルティプラでした」

「わたしは常にミニバンの価値を強く信じています。ミニバンが大好きでした。わたしには双子がいて、双子が生まれた時はミニバンに乗っていました。その後、ほとんどの人と同じようにSUVを購入しました。そして『確かに格好いいけど、車内での生活にはがっかりだ』と思ったのです」

「ポストSUV」時代に向けたコンセプト

「ミニバンとSUVの両方に需要があることは間違いありません。だからこそ、わたしは(フィアット入社時の)優先事項として、次世代ミニバンの開発に取り組むことにしたのです。過去に戻るつもりはないため、SUVのアイデアを基にすることになるでしょう。大きなホイールに、同じプラットフォーム、しかしすべて再解釈して作り上げます」

ベローニ氏はこのように述べ、ルノーのEスペース・コンセプトの発表や中国におけるミニバン人気を認めつつも、全長4.5m未満のムルティプレイで市場のニッチを切り開ける可能性を示唆した。

パリ・モーターショーで公開されたムルティプレイ・コンセプト。
パリ・モーターショーで公開されたムルティプレイ・コンセプト。    AUTOCAR

デザイン責任者のフランソワ・ルボワン氏は、ムルティプレイが今後数年間で到来すると予想される「ポストSUV」時代に向けた提案であり、SUVの購入者にとっても十分に魅力的に感じられるようなミニバンを開発しようとする試みだと述べた。

「わたし達の移動の仕方は、20年、30年、あるいは40年前とはかなり異なっています」とルボワン氏は語った。

ルボワン氏はAUTOCARに対し、ムルティプレイは「市場の片隅に位置し、競合車と真っ向から対決するものではない」ニッチな存在になる可能性が高いものの、これは「次の大きなトレンドを見つけよう」と模索する取り組みであると語った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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