『GRヤリスMコンセプト』を渡辺敏史が取材(前編) 注目はトヨタ初のリアミドシップ4WDと次世代内燃機関

公開 : 2026.06.06 11:45

2025年東京オートサロンで発表された『GRヤリスMコンセプト』は、この週末に富士スピードウェイで開催されている24時間耐久レースに参戦するなど、実戦開発のフェーズに入っています。渡辺敏史による取材レポート前編です。

実戦開発のフェーズに入っている

『GRヤリス』をベースに、リアミッドシップのレイアウトを採る『Mコンセプト』が発表されたのは2025年のオートサロンでのこと。

その際に発表されたスーパー耐久への参戦は同年秋から始まり、今年もOEMの技術開発車両がひしめくST-Qクラスで出走、この週末に富士スピードウェイで行われている24時間耐久レースのエントリーリストにも名を連ねている。

GRヤリスをベースに、リアミッドシップのレイアウトを採る『Mコンセプト』。
GRヤリスをベースに、リアミッドシップのレイアウトを採る『Mコンセプト』。    トヨタ自動車

いわば実戦開発のフェーズに入っているわけだが、果たしてその狙いは何なのか、そして市販車への結実はあり得るのかといった疑問は尾を引いている。そんな中、Mコンセプトの開発を担うGR部門から、車両取材と同乗試乗の機会を提供してもらえることになった。

レースへの参戦を通して存在は公然化しているとはいえ、我々のような外部の人間にバリバリの開発途上車両を触らせることはよくある話ではない。しかもその記事化が可能ということは、マーケットの認知を高め反応を知りたいという思惑があるのだろう。つまりGR部門としては、Mコンセプトの市販化はありと考えていることがうかがえる。

ふたつの技術的な注目点

Mコンセプトに搭載される技術には大きくふたつの注目点が挙げられる。

ひとつはもちろんトヨタとしては初めてとなる、リアミッドシップ4WDのメカニズムだ。GRヤリスが搭載する電子制御多版クラッチを用いたGR-FOURを単純に逆さにレイアウトするという手段も考えられるが、後に触れるエンジンやミッションのマウント位置を最適化するために、一旦駆動軸をエンジン後方に導いてから規格品のチェーンを介して前軸へとドライブシャフトで繋ぐという方式を採用している。

トヨタ初となる、リアミッドシップ4WDを採用する。
トヨタ初となる、リアミッドシップ4WDを採用する。    トヨタ自動車

もちろん開発車両ゆえ後の仕様変更も十分考えられるが、GRヤリス全般の開発を担当する齋藤尚彦チーフエンジニアによれば、メカロスや耐久性といった項目については想定以上に好結果が出ているという。

もうひとつは現時点で搭載されているG20系4気筒ユニットだ。

これはトヨタが2024年にマルチパスウェイ戦略の一環として発表した次世代内燃機関で、ショートストローク化やシリンダーヘッド内で排気を収束する設計を採用、体積や全高を従来のT24系2.4Lターボに対して10%程度低減しながら、600ps級のパワーアップも想定しているという。

エンジン本体、特に背丈を小さくする理由のひとつは、BEV専用として開発されているノーズのコンパクトなアーキテクチャーとの組み合わせを将来的な選択肢として残しておきたい、そんな思惑があるからではないかと個人的には推している。

一方でストロークを短縮するとなればボア側を小さくする、つまり幅側を縮めることは難しい。それを更に後軸の内側に低く置くためには、前軸への駆動伝達も前述のような工夫に迫られたということだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事