アウディA3スポーツバックe-トロン

公開 : 2015.10.09 23:35  更新 : 2021.10.11 09:10

  • 中央のグリーンのバーがEV走行可能距離。撮影時は35kmと表示。オレンジはガソリンの値。

  • EVボタンで4つのモードを切り替える。始動時はEVモードだ。

メーターパネル内にはバッテリーの残容量であとどれだけのEV走行が可能であるのか、そして同様に、さらにガソリンでどれだけの距離を走ることができるのかを示すインジケータが表示されている。さすがに50kmという距離をEV走行で走り切ることはできなかったが、エアコンを使用しても30kmほどの距離を走ることに無理はなかった。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から始まる強烈な加速は、さすがにエレクトリック・モーターによるもの。日本の一般的なトラフィックを考えれば、EV走行でもストレスは一切感じない。

バッテリーの残容量がゼロになれば、自動的にエンジンがスタートし、ハイブリッド走行へと移行する。ここでSトロニックのSモードを選択すると、ガソリン・エンジンとエレクトリック・モーターによる最大のパフォーマンスが発揮されるわけだが、そのスポーティーなフィーリングには何度となく感動させられた。そもそもベースとなるA3スポーツバックは、その軽量性と剛性感ではライバルを大きく超える魅力を持つモデルだったが、その印象は前で触れたとおり、少なからずの重量増が避けられないPHEVのe-トロンでも一切変わることはなかったのだ。シンプルに表現するのならば、このPHEVは走ることにも大きなファン=喜びを感じさせてくれるモデルなのだ。バッテリーが低い位置に搭載されることもあり、コーナリング時に感じる安定感も実に素晴らしい。

「ハイブリッドチャージ」モードは、その名前が物語るように、走行中にバッテリーの充電を積極的に行うもの。例えば高速道路上ではこのモードでバッテリーを充電し、そこから市街地に入った時に再びEV走行を選択するという使い方もできる。将来的にはナビゲーションシステムとの連携で、クルマが自動的に最適なタイミングでモード変更を行ってくれるようにもなるのだろうが、そこまでにはまだ若干の時間が必要なようだ。ちなみに現段階でも、このA3スポーツバックe-トロンには、専用のスマートフォン・アプリを使用して、エアコンやバッテリーの充電をリモートコントロールできる機能が与えられている。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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