BMW M760Li xDrive

公開 : 2017.02.07 05:50  更新 : 2017.05.29 14:39

■どんな感じ?

M760Liは、広い大通りをクルーズするリムジンとして、または荒野を駆け抜けるクルマといった二面性を持っている。

第一印象としては、途方もなくパワフルなクルマという印象だが、そのサイズからは想像できない機敏な動きと、すぐれた快適性を備えている。

高級なインテリアをまとった、印象的なおもてなしと、およそ考えられるすべての豪華装備、今まで出会ったことがないようなサポート性に優れ、調整に優れたフロント・シートを備えている。

街乗りでコンフォート・モードでゆっくり流している時は、エンジンは神妙に静かだし、トランスミッションは気付かれないうちに変速を終えている。なだめすかすように運転したい時や、かき立てられるように走りたい時は、Drivenレンジ に入れておけばよい。

しかし、ひとたびスイッチをスポーツ・モードに入れるや、この大型のBMWの性格は劇的に豹変する。

より過激なソフトウェア・マッピングと、解き放たれたエグゾーストによってV12エンジンは咆哮を発し、レスポンスが向上する。本来のシルクのようになめらかな加速、リニアな反応性が6800rpmのリミットまで一気に続く。

ただ、公式発表では、M760Liは直線を恐ろしい速さで駆け抜けるというが、実際はそれほど驚くことではない。低回転領域から驚くほどのトルクを発生し、Mパフォーマンスの特別に開発されたソフトウェア・プログラムによってBMW xDriveのAWDシステムは、4輪にその莫大なトルクを分けることになる。

明らかにリア駆動に重きを置き、ドライバーを誘いながら、エグゾースト・ノートで圧倒することなく、革仕様のラグジュアリー・サルーンが途方もない加速を見せながら飛んでいくのだ。

トラクション・コントロールをONにしたままにしておいても、重たいエンジンを抱えるが故にフロント・ヘビーになり、タイヤが歪み、タイヤのトラクションが回復するまで一瞬の間がある。

広い道をスロットルを開けて圧倒的な加速で流す。威厳を保ちながら地平線を巻き取るように走る。コンディションが許せばこの大型BMWはそうした走りをもたらす。制限速度の2倍の速度で巡航しても少しも非難されないような、そんなクルマだ(もちろん実際は非難されます。念のため)。

車格を考えると意外かもしれないが、ワインディングこそベストな場所だ。アクティブ・リアホイール・ステア・システムの助けによって縦方向の安定性は極めて高く、高速走行時においてもM760Liの素晴らしい岩のように固いフィールは損なわれない。高速道路を外れても、長距離をそれなりの速度で走らせられるし、安全に快適に移動ができる。

公式には燃費は7.6km/ℓ、CO2排出は294g/kmと示されているが、実際には、街乗りをしていても、これらの数値辺りになるだろう。このようなクラスのクルマを購入する人は気にしないだろうけど。

630psを発揮する6.0ℓV12気筒エンジンのメルセデス-AMG S65と比較すると、AMGの燃費は8.39km/ℓ、CO2エミッションは279g/kmと公式発表されている。

圧倒的に機敏で本当にダイナミックな腕前を最新のMパフォーマンス・モデルでBMW Mディビジョンは実現した。M760Liは、幅広いダイナミックス性能をもつ、信じられないような能力を秘めたクルマだ。

サイズを考えると、コーナーを駆け抜ける速さも驚くほどだ。要するに、大型のラグジュアリー・サルーンが、より小さいエグゼクティブ・クラスのクルマ以上に、方向を変える能力に優れているということだ。

標準のフロント:245/40 R20 、リア:275/35 R20のタイヤのグリップを越えてコーナーに進入する際、エア・サスペンションがスポーツ・モードになっている場合のボディ・コントロールは特別で、ブレーキングの最中のピッチや溝の影響を一掃する進化的な動きを示す。大抵のラグジュアリーカーの一般的傾向として発生する揺らめきなどは抑えられて、前方向に進む推進力になるのである。

M760Liはコンフォート・モードでも優れた仕事をする。さすがにメルセデス-AMG S65の魔法の絨毯のような感覚ではないが、M760Liの動的性能の高さを考えると、乗り心地はすこぶるいい。

乗り心地向上に寄与している部分としては、ボディ構造強度の向上が理由として挙げられ、それは興味深い複合素材を効果的に配している結果だ。このクラスで最高レベルの強さを実現している。

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