ロータス史上最高の3台 エランS2/エスプリ・スポーツ300/エリーゼS1 一気乗り

2017.07.08

ロータス・エスプリ・スポーツ300

エスプリにはわたしはちょっと不安を感じていた。エランはかなり古いクルマなので、デザインやテクノロジーやドライビングが現代のクルマと同じようなものと期待することは絶対にありえない。

それとは対照的に、14年落ちでもエリーゼは現代の同格のクルマと今でも完全に互角に立ち回ることができる。しかしエスプリは?

……欠点を弁解するには新しすぎるし現代の世界で評価するには古すぎるので、単に残念ながら時代遅れとなってしまった過去の栄光を懐かしむだけに終わってしまうのではないか?

ある意味では、それは当たっている。ボディパネルのチリのずれ方は悪い冗談だし、キャビンは狭苦しくレイアウトも貧弱だ。

ルノー製のギアボックスも役不足だし4気筒2.2ℓのエンジンはターボ過給で初代エスプリのほぼ2倍のパワーを得てはいるが、そのエグゾーストノートたるや粗暴としか言いようがない。


しかし、絶対的に速いのは間違いないところだ。われわれがこのクルマをロードテストしたのは1993年に遡るが、当時の個体は燃料ポンプの不調でエンジンに充分な燃料を供給できないトラブルがあったにも関わらず、0-97km/h加速を4.7秒でこなしてみせた。

今、目の前にあるクルマは完調で、2速へのシフトの際のタイムロスを考慮にいれても、当時の公表タイム、4.5秒は軽くクリアするように思われた。

更に大きなターボにはタイムラグがあるのでは、という懸念も同時に払拭された。リッター当たり141psの出力を誇るこのエンジンは、オフブーストでもそれなりに納得できるレスポンスがあり、ひとたびギャレット製のタービンが回転を上げれば驚異的な反応の良さを示すのだ。


ロータスのテスト・コースを始めて周回した時、このクルマがめったに破綻をみせないことに、改めて驚いた。殆ど20年の間、このクルマに乗るチャンスはなかったが、その当時は今回ほど美点に魅了されることはなかったのだ。

再びわたしはこのクルマに魅了されている。当時わたしは、このクルマは過去最高のパワーステアリングを持つと明言したが、20年間近く過ぎた後でもこの言葉通りになるとは思いもしなかった。

あの当時、このクルマは自分が運転した中では最もバランスの取れたミドエンジンのクルマであった。今でもそれは変わらない。エンジンをドライバーの後方に据えるクルマでドリフトに長けたクルマはないが、このエスプリに乗れば、「はたしてそうか?」と思うだろう。

ケンはロータスのシャシーエンジニアのトップのひとりにこのクルマを運転してみるよう勧めたが、わたしは、そのエンジニアがクルマを下りて来た時の嬉しそうな顔は決して忘れないだろう。

「ちゃんと仕上がっている」というのが彼の言葉だった。ロータスのテストコースの外周路の内側は、このクルマのシャシーにとって他のどの場所よりも過酷な場所だろうから、彼の言葉は最高の賞賛である。


わたしは自分の選択に満足した。どのクルマもそれぞれに、規範となるべき名車なのだ。だが同時に、意外性もあった。

正直に言えば、エランには自分が望むものの全てがあるが、エリーゼとエスプリ・スポーツ300にはさらに多くのものがあった。

この中で最軽量で最も単純でそして最も美しいエランには、ロータスのDNAが最も濃密な形で濃縮されているが、エリーゼもごく近いところまで迫っている。そして現在では一方の価格が他方のほぼ4分の1になっていることを考えれば、そのバリューは明白にわかるだろう。

しかし自分の心を捉え、数日経ってもまったく返却する気にならなかったのはスポーツ300だった。

わずか64台しか製造されておらず、その為に今では良好な個体を入手するのに£45,000(約540万円)を必要とする。それも当然ながら売りに出されているクルマを発見できればの話である。

このクルマは最高のエスプリとして広く認知されているが、わたし個人の感想では、もっと素晴らしく、これ以上にわたしが運転したいクルマは他にない、とまで言い切ることができる。無論、ロータスとしては、やや理想から外れるかもしれないが。

皆さんもご存じの通り、ロータスは現在この後継となるモデルの開発を進めている。

もしニューモデルが、ルックスもドライビングも同じくらい良好なクルマに仕上がって、しかも造りも良好だったら、ロータスの悩みは全て消えることになるのだが。

 
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