ロータス史上最高の3台 エランS2/エスプリ・スポーツ300/エリーゼS1 一気乗り

2017.07.08

ロータス・エランS2

さて、ひとまず話をエランに戻そう。もし、ロータスがどんなクルマなのか、また、どうあるべきなのか、を知りたいと思ったら、正にこのエランに回答がある。このクルマは、小さくてシンプルだが、それは、決して粗雑だとか不快だという意味ではない。実際はその反対である。

わたしにとって驚きなのは身長6フィート4インチのわたしでも実に快適にアロイスポークで木製リムのステアリングを持つ運転席に快適に座れて、しかもルーフとウィンドウを完全に開いてもわたしの薄い頭髪をかき乱すことがなかったということだ。


試乗車はノーマルのS2で、つまりフォード製ブロックにロータス製ツインカムヘッドを載せた1.6ℓのエンジンから107psを発生する。

トランスミッションは見事なまでに正確なフォード製の4段ギアボックスだ。サスペンションはフロントがトライアンフ・ヘラルドのダブルウィッシュボーンで、リアにはチャップマン式擬似ストラットと呼ばれるメカニズムが使われているが、これはロアウィッシュボーンにストラットを取り付けたもので、構造をシンプルに抑えている。

バックボーンシャシーの使用によるねじれ剛性には制約が生じるが、グラスファイバー製ボディに加えて木製ダッシュボードの採用により強化が施されている。しかし特筆すべきは重量で、わずか673kgに抑えられているのだ。

これでも体感的には充分に速いが、もし、エランで、現代のマシンを脅かそうとするなら、高価なスプリント仕様がある。

こちらは0-97km/h加速を7.5秒でこなすので、かなり肉薄できる。しかし、誰が絶対的なパワーを気にするのだ? エランの神話はハンドリングから生まれたのではないか。


乗ってまず気づくのはサスペンションの異常なほどの柔らかさである。乗り心地は実に良好でまるで昔のシトロエンのようだ。

タイヤの幅はまるでフラフープのように細いが、ウェットなサーキットでのトラクションは驚異的で、ブレーキも同様だ。

ここから示唆されるのは、エランがこれほどソフトな足回りを持つ唯一の理由は、そうでなければボディに負荷がかかった時に捩れるからということらしいが、もしそれが事実だとしても、この解決策は実にうまくいっている。

グリップは予想よりも強力で、狙ったラインをトレースする性能は、これほど古くて足回りが柔らかく、ねじれ剛性に欠けたクルマとしては信じられないほど高い。

この3点から考えて、最もドリフトに持ち込みやすいクルマだとわたしは考えていた。だが、そうではなかった。

足回りはわずかながらアンダーステア寄りに設定されており、スロットルを戻してリアを不安定にしてから再び踏み込んでラインから外そうとすると、確かにコーナーの前半で軽いオーバーステアの挙動を示しはするが、あまりに車重が軽いため、すぐに慣性が尽きてグリップを回復してしまうのだ。


ボディ構造では、このエランはどの個体を取っても46年の歳月を感じさせる。ハンドリングも現代の高性能車とは大きく異なっているし、路面への粘着力は比較にならないほど弱いが、ドリフトを始めると挙動ははるかにゆっくりしている。

それなりの実力のあるドライバーにとって、誤ってスピンに陥ることを想像するのはきわめて難しい。このために低速のほうがより楽しめるクルマに仕上がっており、さらに付け加えて言うなら乗れば乗る程ほど楽しみがわかってくるクルマであるとも言えるだろう。

 
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