ロードテスト フォード・フォーカスST ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.09.21 11:50  更新 : 2019.09.26 00:08

結論 ★★★★★★★★☆☆

フォードがわれわれに提示したのは、どのようなホットハッチなのか。毎日でも乗れる前輪駆動の快速ハッチバックということであれば、採るべき道はいくつかある。

フィエスタSTのような、きわめてアジャストしやすい遊び心を持たせるか、新技術をサーキット走行で本領発揮するために用いて、もっとシリアスな走りを追求するか。

キャラクターもパフォーマンスもかなりのものだが、夢中になれるほどではない。
キャラクターもパフォーマンスもかなりのものだが、夢中になれるほどではない。    LUC LACEY

はたまたゴルフGTIに挑んで、苦もなく引き出せるパフォーマンスと卓越したロードマナーを持たせるか。もしくは、乗りこなしてドライビングの満足感を得るのに時間がかかる、奥深く難解なクルマに仕立てるか。

たまたまと言おうか、4代目フォーカスSTにはそうしたすべての要素が共存し、驚くべきオールラウンダーに仕上がっている。ルーツが実用車にあるので、このクラスは使い勝手を厳しく要求されるものだ。

しかし、われわれが心から望むのは、夢中にさせてくれるかという点や、走りのキャラクター、現実的なパフォーマンス、路面コンディションへの順応性、そしてキャビンの雰囲気だったりする。

そうなると、このクラスの傑作と呼べるようなホットハッチに比べれば、キャビンはちょっとばかりおもしろみに欠け、メカニズムへの信頼度もやや足りない。となれば、強豪揃いのランキングで、フォーカスSTがトップに躍り出るのは、現状ではいささか難しい。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

フォーカスSTとシビック・タイプRは似て非なるものだ。STの現実味のない性格は、表面的なスリルをもたらす。対してタイプRの無駄を削ぎ落とした精密さは、真価を実感するのに時間がかかるものの、一旦それを味わえば忘れがたいものがある。とはいえ、いずれも甲乙つけがたい。

サイモン・デイヴィス

乗り込むたびに、STのキャビンには残念な思いが募っていく。レカロシートは最高だが、エキサイティングになれる要素がほかにはなにもないのだ。

オプション追加のアドバイス

250ポンド(約3.8万円)のパフォーマンスパックは、ぜひとも選びたい。トラックモードを使うには、これしか手がないからだ。特別色のオレンジ・フューリーに800ポンド(約12万円)も払うのは、色合い同様にクレージーだが、お好きならどうぞ。

改善してほしいポイント

・ノーマルとスポーツの間に、公道を飛ばすのに最適なダンパーのセッティングを用意してほしい。
ホンダほど完璧なシフトフィールは望まないが、もう少し操作を楽しめるものにはできたはずだ。
・インテリアにはもう少しにぎやかしがほしい。エルゴノミクスは文句なしだが、チープなプラスティックや雰囲気には残念なものがある。

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