ロードテスト フォード・フォーカスST ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.09.21 11:50  更新 : 2019.09.26 00:08

走り ★★★★★★★★☆☆

フォード曰く、中速域での速さは、1世代前にあたる3代目フォーカスRSをも凌ぐとか。これは、同じ2.3Lターボのエコブーストユニットだが、最高出力は3代目RSの方が80ps近く上回ることを踏まえれば、声を大にして言いたいところだろう。

そして、それが正しいことは、われわれの計測でも証明されている。4速・48~113km/h加速でSTがマークした7.1秒のタイムは、2016年の登場時にテストしたRSのそれをコンマ5秒ほど凌ぐのだ。これは大きな進歩だが、興奮にわれを忘れるほどではない。

馬力で勝る3代目フォーカスRSすら上回る速さを手に入れたと、フォードは謳っている。
馬力で勝る3代目フォーカスRSすら上回る速さを手に入れたと、フォードは謳っている。    LUC LACEY

現行シビックRにはあとコンマ1秒及ばないし、向こうは路面の湿ったテストコースで、今回のSTより0.4秒も速い0-97km/h加速タイムをたたき出すのだ。0-161km/hとなると、ここでもRSには勝るものの、タイプRには1.6秒の差をつけられる。もっとも、ホンダのエンジンは排気量こそSTより小さい2.0Lだが、最高出力は320psを誇る。なにより、高回転域での激しい回りっぷりがすばらしい。

ローンチコントロールが公道向けに最適なデバイスかどうかは怪しいところだが、それでもフォードはこのSTにそれを装備した。だが、3000rpmでクラッチペダルをリリースすれば、やや温まった舗装の上でも、溢れ出るトルクがひたすらホイールスピンを引き起こすことはすぐにわかる。

発進加速のベストタイムが出たのは2300rpmあたりでスタートしたときで、クラッチ操作は敢えてクイックに。2速へは早めにシフトし、前輪がまたスピンしようとするのをなだめすかすくらいがいい。スタートしてしまえば、電子制御LSDがきっちり働いて、トルクステアをステアリングホイールがちょっとだけ引かれる程度に抑えられる。

エンジンは回転上限の6500rpmまで回り、このクラスでは個性を感じさせるほうだ。それでも、ホンダのショートストロークな2.0Lユニットに比べれば、そこまで印象的ではない。なにしろあちらは、驚くほど貪欲に回転を高め、フォード製ユニットでは敵わないような自然吸気的フィールを備えているのだ。

また、野太くハスキーなサウンドが個性を強めているが、ピックアップは思いのほかシャープで、猛烈な力強さと、シャシーを正しく走らせられる敏感さとを共にもたらしてくれる。ギアシフトがもっとはっきりしたものでさえあれば、このクラスで傑出したパワートレインになったはずだ。しかし実際には、楽しさと効率性が半々、といった程度にとどまっている。

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