ジャガー・ランドローバー新開発拠点訪問 モビリティーの未来へ 黄金時代の始まりか 前編

公開 : 2019.10.27 11:50

歴史ある場所 元英国空軍訓練場

未来のすべてのジャガーランドローバーがここで創り出されるだけでなく、ゲイドンが誇る多様なテスト環境のもとでの試験を受けることになる。

高速テストコースから郊外路、泥だらけの悪路に加え、排ガス測定ラボやマイナス40℃の環境まで再現できる低温チャンバーなどの施設は、過去10年で「劇的に」拡充されたものだとスペッツは言う。

新たなデザインの「展示場」へと集められたジャガーたち。
新たなデザインの「展示場」へと集められたジャガーたち。

ここゲイドンは70年以上、地元のひとびとにとっては誇るべき場所となってきた。

英国空軍爆撃機クルーの訓練用飛行場として、3本の交差する滑走路を備えて1942年にオープンすると、1950年代から60年代にかけての冷戦期には、ふたたび3Vボマーと呼ばれた爆撃機の乗組員がここで訓練を行っている。

1960年代中盤にヴィクター爆撃機とヴァリアントが退役すると、英国空軍は1970年代後半までゲイドンを塩漬けにしていたが、その後、ブリティッシュ・レイランドが秘密めいた本社とすべくこの場所を買い取っている。

その後、ブリティッシュ・レイランドとして、ローバーグループやブリティッシュ・エアロスペース、BMWフォードとの合併や離脱を繰り返すなかで無秩序な拡張が続けられたが、2008年にタタ・モータースがジャガーとランドローバーを買収すると、この場所はJLRの拠点と見做されるようになった。

歴史の転換点 電気が大きな役割

JLRのスタッフや招待客が見守るなか、スペッツは熱のこもったオープニングスピーチでハッキリとこの新たなゲイドン・トライアングルとジャガー・デザインチームの移動は、JLRにとって重要な歴史の転換点になると述べている。

さらに博士は、「未来のモビリティーにおいては、環境負荷が小さく再生可能なエネルギーから生み出された電気が大きな役割を果たすことになる」とまで明言している。

CEOのスペッツは、「未来のモビリティーは電気に掛かっている」と話す。
CEOのスペッツは、「未来のモビリティーは電気に掛かっている」と話す。

これは、大型でパワフル、プレミアムな車両を創り出すことを生業としている自動車メーカーのトップとしては、将来を見据えた非常に大胆な発言であり、未来のより先進的な車両開発を示唆しているのかも知れない。

エイブラハム・リンカーンの「将来を予想する最善の方法は自ら将来を創り出すことだ」という発言を引用しつつ、スペッツはJLRの将来を導くものとして彼がこだわる「デスティネーション・ゼロ」についても多くを語っている。

デスティネーション・ゼロが意味しているのは事故と排ガス、そして渋滞をゼロにするということであり、この3つの目標は、環境に優しく、カーボンニュートラルなJLRの工場から生み出される車両によって達成されることになるだろう。

「われわれのビジョンは、排出ガスゼロの車両や公共交通機関、さらには自動運転モデルによって構成されるスマートで統合された移動ネットワークを実現するためのものです」とJLRのCEOは話している。

「こうした車両は、排出ガスの削減が可能なよう、リサイクルによってさらに価値を高めることのできる持続可能で自己修復機能を持つ新素材や、天然繊維といった循環型経済の原則に基づいた方法で創り出されることになります」

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