マツダ・ロードスターに触発された2台 Z3 MロードスターとCLK32 AMG 前編

公開 : 2019.10.27 07:50  更新 : 2020.12.08 10:56

マツダ・ロードスターの登場から数年後、やや旧式と呼べるようなスポーツカーのレシピで生み出されたドイツ製2シーター・カブリオレ。さらに高い支持を得るべく、MディビジョンとAMGとが手を加えた特別仕様を振り返ります。しかし最後には意外な伏兵も。

ロードスターを追従したドイツ・ブランド

text:Chris Chilton(クリス・チルトン)
photo:Will Williams (ウィル・ウイリアムズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アメリカ市場に向けた英国的なスポーツカーを、日本で企画したマツダロードスター(MX-5)。この成功をドイツ勢も見過ごすはずがなかった。

1990年半ばまでに、BMWメルセデス・ベンツはコンパクトな2シータースポーツカーをモデルラインナップに加えた。だがBMWのZ3もメルセデス・ベンツのSLKも、マツダ・ロードスター(MX-5)のような甘いドライビングフィールを備えてはいなかった。

メルセデス・ベンツSLK32 AMG
メルセデス・ベンツSLK32 AMG

販売は好調だったが、根っからのエンスージャストからはあまり相手にされなかった2台。プレミアムブランドとして、期待されるパフォーマンスが得られていなかった。

1995年の映画007でピアース・ブロスナンはZ3をドライブするが、当時選べたエンジンは142psの1.9L一択。SLKは4気筒をスーパーチャージャーで過給し強力ではあったものの、トランスミッションはATのみ。ボール・ナット式のステアリングだったこともあり、運転感覚はスポーツカーとはいいにくかった。

AMGやMディビジョンも存在したが、1990年当時は主要モデルから高性能サルーンを生み出す、ややニッチな存在だった。AMGは1967年からメルセデス・ベンツの改造車を手掛けており、1992年からはメルセデス・ベンツの協力も得ていた。だがシュツットガルトの正式メンバーに加入するのは1999年になってから。

BMWのMディビジョンは既に英国や日本でも認知されていたブランドだったが、やはり限定的。1995年まではドイツ・ガルヒングの工場でM5を手作りしていたような状態ではあった。

AMGとMディビジョンが手を加えた2台

両ブランドはスポーツカー製造の主役へと立場を変えつつある時期。ここぞとばかりに、SLKとZ3をソフトなカブリオレから熱いスポーツカーへと生まれ変わらせた。エンスージャストの支持を集め、一目置かれるモデルとなる。

新車当時は高価だったSLK32 AMGとZ3 Mロードスターだが、現在の中古車価格は落ち着いており、1万5000ポンド(200万円)程度出せば、英国ならそこそこのクルマが手に入る。近年の注目も上がるわけだ。

メルセデス・ベンツSLK32 AMG
メルセデス・ベンツSLK32 AMG

今回の主題、SLK32 AMGとZ3 Mロードスターに触れる前に、忘れてはいけないシルバーの別のロードスターも確認しておきたい。ポルシェを財政破綻の危機から救い出した、初代ボクスターだ。

SLK AMGを購入しようと英国のとある中古車店に入ると、走行距離の少ないボクスター3.2 Sも購入できることに気づく。しかもSLK AMGより価格は安い。20年前の評価も高かったが、現在でもデフォルトで選びたい選択肢ではある。

ボクスターを選ばないという理由もいくつか存在はする。エンジンブローを起こす可能性があるという誇張気味のブログの記事。ボクスターSであっても、それほど速くないという事実。ライバルのトラディショナルなFRの感触の良さ。

新車当時、0-96km/h加速6秒という数字は、現在では平均的なレベルとはいえ、当時もさほど優れているとはいえなかった。AUTOCARが2001年にテストした時は、SLK32 AMGの0-96km/h加速は4.9秒で、BMWは4.8秒と上回っていたのだ。悩ましい。

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