【驚きの体験】チーフテン戦車を操縦 売り先には注意 顧客には陸軍も 後編

公開 : 2020.01.26 18:50

ベントレーGTオフロード仕様

2017年のオークションで売却されたこの車両はいまTanks-Alotが所有しており、ルーフにはハッキリ言ってあまり見栄えのしない広告が設置されている。

その驚くべきエクステリアとは対照的に、キャビンはまごうこと無きGTそのものであり、淡いピンク色をしたレザーもそのままだ。

趣味良くモディファイが施されたコンチネンタルGT W12には、ベントレーが思いつきもしなかったような方法が採用されている。
趣味良くモディファイが施されたコンチネンタルGT W12には、ベントレーが思いつきもしなかったような方法が採用されている。

エンジンを始動しても、すぐに滑らかなアイドリング状態へと落ち着くが、この荒地を走り廻るためにはアクセルを思い切り踏み込む必要がある。

さらに、もともとのタイトなフィールは失われており、ダッシュボードのインストゥルメントパネルに設置された警告灯がひっきりなしに点灯している。

つまり、このクルマはベンテイガのライバルというよりも、明らかに宣伝用だ。

ウェリントンブーツにたっぷりと泥が付いたところで、そろそろこの兵隊ごっこを終える時間だ。

いずれにせよ、ミードには売り物のT54と76mm砲を使えなくしたアルヴィス製装輪走行車、サラディンが残っている。

帰り際、ついさっき存在に気付いたばかりの34羽のオウムたちの鳴き声が空に響き渡っていた。

「飼い主を失ったオウムたちです」と、ミードが教えてくれたが、そのうちの1羽は二度とここへ来るなと言っているようだ。

ふたたびわたしがチーフテンを操縦することの無いよう、念には念を入れているに違いない。

チーフテンMK10のスペック

価格:1万8000~5万ポンド(254万~707万円)
エンジン:ロールス・ロイス 13アルファ 19Lディーゼル12気筒水平対向2ストローク
パワー:964ps
トルク:201.9kg-m
ギアボックス:トリプルディフェレンシャル・セミオートマティック
重量:55t(ワイルド・スピードEURO MISSION仕様の場合70t)
最高速:48km/h(道路)、14km/h(クロスカントリー)
航続可能距離:499km/h
ライバル:T-54及びT-64(ソ連)、T69及びM60パットン(米国)、 ポルシェ・レオパルト1(西独)

何台かは売り物だが、買い手を見誤った場合、ミードは刑務所行きとなる。
何台かは売り物だが、買い手を見誤った場合、ミードは刑務所行きとなる。

番外編:隠された財宝

2017年、湾岸戦争で英国陸軍が鹵獲したイラク軍の戦車をレストアしていたニック・ミードとTanks-A lotのチーフメカニック、トッド・チェンバレンは、燃料タンクの中から1本あたり5kgもある金の延棒を発見している。

「燃料を廃棄したにもかかわらず、持ち上げることが出来なかったのでおかしいと思ったのです」と、ミードは言う。

キャビンはベントレーそのままの高級さを感じさせるが、スペアタイヤやジェリー缶は空力的にはまったく褒められたものではない。
キャビンはベントレーそのままの高級さを感じさせるが、スペアタイヤやジェリー缶は空力的にはまったく褒められたものではない。

「結局、この金の延棒の重量のせいだと分かりました。テコを使ってタンクを持ち上げてみると、下側に空間が設けられているのを発見したのです」

この金の延棒の価値は約250万ポンドにも上ると推計されたが、ミードにとって為すべきことは明白だった。正直に警察へと届け出たのだ。

いま彼はその正直さが報われる瞬間を心待ちにしている。

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