フィアット・トポリーノ(2) 英国価格はシトロエン版より少し高めの約189万円から 最高速度45km/h 思わず欲しくなる愛嬌と面白さ

公開 : 2026.07.23 18:10

シトロエンのマイクロEV、アミをベースに誕生したフィアット・トポリーノ。8psのモーターに最高速は45km/hでも、レスポンスの良さで平均速度の低いエリアへうってつけです。UK編集部が試乗します。

平均速度の低いエリアの短距離移動にうってつけ

シトロエン・アミから派生した、愛嬌たっぷりのフィアット・トポリーノ。小物置きは限られるものの、小さな外観から想像できないほど車内は広い。コスト削減の成果が、樹脂製なことを隠さない内装や、左ハンドルのみの設定に現れているが。

バッテリーEVならではのレスポンスの良さと、短いホイールベース、ダイレクト感の高いステアリングが相まって、運転は予想以上に面白い。小さなボディサイズで車幅感覚を掴みやすく、入り組んだ市街地を我が物顔で走り回れる。

フィアット・トポリーノ(欧州仕様)
フィアット・トポリーノ(欧州仕様)

最高出力は8psしかなく、間違いなく高性能なマイクロカーとは呼べないが、平均速度の低いエリアでの短距離移動にはうってつけ。田舎町での買い物にも役立つに違いない。狭い道でのすれ違いで、緊張することもない。

最高速度は45km/hで適した道は限られる

高低差のあるヘアピンカーブでも、トポリーノは身軽で小気味良い。パワーが限られる駆動用モーターは、走行中に甲高いノイズを発するが、加速は滑らかでマイクロカーとして必要充分な性能は備わる。

古代ローマ時代の遺跡が残る旧市街地へ、好適なモビリティであることは間違いないだろう。英国でも、このクルマが自分に丁度いいと感じる人はいるはず。

フィアット・トポリーノ(欧州仕様)
フィアット・トポリーノ(欧州仕様)

他方、最高速度は45km/hだから、トポリーノに適した道は限られる。交通量の多い道では、若干の不安感を伴うことは事実。特に最近流行りの大きなSUVに追い越されると、自分の乗るクルマの小ささを実感する。

路面次第では細かな揺れが続く

乗り心地は硬め。サスペンションはストロークが短く、ホイールベースは短く、タイヤの直径も小さく、路面次第では細かな揺れが続くことになる。

イタリア・ローマでの試乗は時間が限られ、駆動用バッテリーを空にすることはできなかった。それでも、マイクロカーとして不満のない距離を走れることは証明されたといえる。自宅での充電は前提といえるが。

フィアット・トポリーノ(欧州仕様)
フィアット・トポリーノ(欧州仕様)

英国価格は、ベースグレードのヴェルデ・ヴィータで8995ポンド(約189万円)から。シトロエン・アミより、1300ポンド(約27万円)ほどお高めに設定された。イタリアには、ブラック内装の仕様やカンバストップ仕様など、限定モデルも投入されている。

合理性で考える以上の魅力がある

トポリーノはチャーミングな見た目で、市街地を気兼ねなく走り回れ、短距離なら運転がすこぶる楽しい。だが、あくまでもマイクロカー。クルマとしての能力は高くなく、アミと同様に条件抜きでオススメすることは難しい。

最高速度は45km/hで、幹線道路を走るには心もとない。スクーターのように、車線の隙間を縫って走れるわけではない。快適性も高いとはいえない。

フィアット・トポリーノ(欧州仕様)
フィアット・トポリーノ(欧州仕様)

とはいえ、合理性で考える以上の魅力があることは否定しない。トポリーノのステアリングホイールを握れば、陽光降り注ぐ地中海沿岸の町が、自然と頭に浮かんでくる。誰もが利用しやすいと感じるモビリティではないとしても、思わず欲しくなってくる。

◯:イタリア車らしい魅力 適した環境なら小さなザイズで運転が楽しい シンプルで無駄のない実用主義
△:限定的な最高速度と航続距離 コンパクトカー級の快適性はない 英国では合理的な選択肢とはいいにくい

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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