【ルノー製ターボマシンの代名詞】5ターボ2と5ゴルディーニ・ターボ 後編

公開 : 2020.01.19 16:50  更新 : 2021.02.02 12:41

ルノー5 ゴルディーニ・ターボと、その祖先に当たるルノー5ターボ。F-1でのターボエンジンの成功と、世界ラリー選手権への出場というタイミングが生んだ、特別なフレンチ・コンパクト・ハッチバックをご紹介しましょう。

スリムで可愛らしいゴルディーニ・ターボ

text:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1981年1月、ラニョッティはラリー・モンテカルロでの優勝という大きな記録を残す。1982年もラニョッティはツール・ド・コルス・ラリーを制し、ルノー5ターボはWRCの表彰台を飾った。

一般道のドライバーは、5ターボが登場したのと同じタイミングで、ギャレットT3ターボを搭載した安価な5ゴルディーニ・ターボを楽しむことができた。価格は最終的には5750ポンド(81万円)だった。

ルノー5ゴルディーニ(アルピーヌ)・ターボ
ルノー5ゴルディーニ(アルピーヌ)・ターボ

自然吸気モデルの5ゴルディーニと比べると625ポンド(9万円)高いが、対価として最高出力111psと最大トルク14.9kg-mが得られた。最大トルクは30%増しで、ゴルフGTiに並ぶ走行性能を獲得できていることも大きい。

もしルノー5ターボに見慣れているなら、ゴルディーニ・ターボの方はスリムで可愛く見えるかもしれない。かなりアグレッシブな兄と比較して、見た目は一般的なハッチバックではある。

大きくサイドサポートが張り出したフロントシートはスポーツ感満点。ダッシュボードは標準のままで、グレーのプラスティック製スイッチが並ぶ。黒いメーターパネルには赤みの強いオレンジ色の数字が振られる。

3スポークのステアリングホイールにはアルピーヌのロゴが入り、コラムは短く不自然に水平に取り付けられている。ポジションに慣れるまで時間は掛かるが、操舵時の重さは適正で、操作に見合ったレスポンスがある。

人気に推されてターボ2が登場

平たいポストのようなエアインテークは、左にオフセットし、ドライバーの視界は対象ではない。少し回りたがらないエンジンにムチを入れると、ターボが静かに目を覚ます。すべての金属がガタガタと音を立て、ゴルディーニは思っていたとおり、すばしっこい。

コーナリングでは大きくロールするが、これは通常の5と同じスタイル。トランスミッションのフィーリングは柔らかい。「マヨネーズっぽい!」 というと、助手席の同乗者が笑う。AUTOCARではかつて、はちみつの入ったツボをかき混ぜるようだ、と表現している。これも慣れるのに時間がかかる。

ルノー5ターボ2
ルノー5ターボ2

フランスの初期型には、標準レシオとクロスレシオのMTが選べた。パワーステアリングも付いていた。英国に入ってきたのは、標準レシオのMTと、ノンアシストのステアリングのみだった。

5ゴルディーニ・ターボのドラマチック性は5ターボには及ばないが、毎日の移動手段として問題なさそうだ。ちゃんとした後部座席と荷室がある。5ターボなら、食料品を買っても、エンジンフードの上で加熱調理されてしまうかもしれない。

ルノー5ゴルディーニ・ターボはやはり5ターボのウォームアップといったところ。ホモロゲーションを獲得するために400台限定としていたルノー5ターボの人気は大きく、最終的には1800台以上が製造された。

さらにルノーは1983年にラリーでの活躍を最大限に活かすべく、ターボ2をリリースする。ボディはアルミニウム製ではなく、より安価で強度の高いスチール製へ変更。インテリアはゴルディーニのものを流用している。

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