新型 ルノー・ルーテシア(2) バランス良く高水準な操縦性 郊外では28.5km/Lの好燃費

公開 : 2025.12.22 18:10

大胆ボディへ一転の6代目ルーテシア HVは160psに 居心地イイ車内 横長モニターにグーグル・ジェミニ実装 鋭い発進加速 バランス良く高水準な操縦性 燃費優秀 UK編集部が試乗

鋭い発進加速 低域では電気だけで走行可

6代目へ進化した、ルノー・クリオ(ルーテシア)。今回試乗したハイブリッドの自然吸気エンジンは、従来の1.6Lから1.8Lへ拡大された。直噴式になり、排気系が改められ、ユーロ7に適合。重量は100kgと軽く、110psの出力を発揮する。

ここへ、49psの駆動用モーターと20psのスターター・ジェネレーター(ISG)を、4速ドグミッションと2速ATを介して融合。システム総合160psを発揮し、0-100km/h加速は8.3秒で処理する。5代目のハイブリッドから、1.0秒縮めている。

ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)

発進時の反応は、モーターが機能し鋭い。高出力なわけではないが、30km/h以上の速度域までしっかりエンジンを助けてくれる。駆動用バッテリーは先代から16%容量が増え、低域では電気だけでの走行にも対応する。

ただし、運転の楽しさより効率性重視。滑らかに回転するものの、高負荷時のサウンドは若干荒っぽい。

日常的な環境で概ね滑らかなハイブリッド

2基のモーターと2基のトランスミッションが載るハイブリッドは複雑で、エンジンは前輪を駆動するのと同時に駆動用バッテリーの充電も可能。2基のモーターも、それぞれ必要な場面でアシストを加える。

とはいえ、日常的な環境で運転している限り、その事実には殆ど気付かないはず。アクセルペダルを普通に傾けていれば、スムーズに走ってくれる。

ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)

難解な動きをすることも、稀にある。例えば赤信号で停止直後、不意にエンジンが回転し始め、駆動用モーターで発進した後にエンジンが停まる、といった場面がある。

新機能といえるのが、スマート・ドライブモード。運転スタイルに応じて、エコ・モードとスポーツ・モードが自動的に切り替わる。自然に動作していたように思う。

バランス良く高水準な操縦性 燃費は優秀

操縦性は、ルノーらしく水準が高くバランスが良い。5 E-テックのような快活さまでは感じないものの、比較的クイックなステアリングは正確に反応する。運転の充足感は、このクラスの平均以上。ただし、トヨタヤリスの方が上手かもしれない。

乗り心地は概ねフラット。細かな鋭い入力の処理は、若干苦手といえるが。試乗車が履いていた18インチ・ホイールも、良くない影響を与えていた様子。乗り心地を求めるなら、荒れたアスファルトが多い英国や日本では、16インチがベターだろう。

ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)
ルノー・クリオ(ルーテシア)・フルハイブリッド E-テック・テクノ(欧州仕様)

燃費は優秀。市街地や高速道路など、複合的なルートを走らせた平均で23.0km/Lを得られた。速度が安定した郊外のルートでは、28.5km/Lへ迫った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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