プジョー次期『208』にもホットハッチ導入 絶大な人気誇る『205 GTi』のスピリット継承、ただしEV限定か

公開 : 2025.12.23 07:25

プジョーは次期『208』の高性能ナージョンとして『GTi』の導入を検討しています。1980年代に人気を集めたホットハッチ『205 GTI』の精神を受け継ぎ、ブランドの歴史と魅力を強調する狙いです。

スポーティなブランドイメージを強調

プジョーは、2028年発表予定の次期『208』において、伝説的なホットハッチ『205 GTi』のスピリットを継承した高性能バージョンを設定する方針だ。

同車はすでに、現行世代の『e-208』でGTiモデルを復活させている。そして今回、アラン・ファヴェCEOはAUTOCARの取材に対し、ブランドの中核に「優れたドライビング感覚」を据えるため、さらに多くのGTiモデルを追加すると語った。計画には次期208も含まれる。

6月発表の電動ホットハッチ『プジョーe-208 GTi』
6月発表の電動ホットハッチ『プジョーe-208 GTi』

既存のe-208 GTiは最高出力282ps、0-100km/h加速5.7秒、機械式リミテッドスリップデフを装備した電動ホットハッチだ。アルピーヌA290フォルクスワーゲンIDポロGTIと競合することになる。

GTiの名を冠する高性能モデルは、2017年に登場した先代の『308 GTi』以来だ。ファヴェ氏は「GTiのバッジを今後も存続させるつもりがなければ、このモデル(e-208 GTi)は開発しなかったでしょう。1車種に留まらないGTiの未来を築くために、しっかりと準備していきます」と述べている。

ファヴェ氏は将来計画の詳細には触れなかったが、「重要なのは、GTiバッジが付く以上、同クラスにおいて唯一無二で最高峰の体験を提供することです」とした。

プジョーは6月のル・マン24時間レースでe-208 GTiを発表し、2026年に受注を開始、同年末までに納車を開始する予定だ。つまり、発表から納車まで約1年半という長いリードタイムがかかるが、ファヴェ氏によると、これは電動版GTiに対する野心の大きさの表れだという。

「これはクルマを完成させるのに必要な時間です。プジョーは本当に優れたクルマ、カテゴリーのトップクラスで真に信頼できるホットハッチにしたいと考えています。それにはこれだけの時間が必要なのです」

205へのオマージュを添えて

ファヴェ氏は、開発陣にとってアルピーヌA290が主要なベンチマークになっていることを認めつつ、e-208 GTiは「少なくともわたし達が目指すところでは、同コンセプトの同胞よりも確実に優れたものになるでしょう」と自信を示した。

「真面目な話、目標の1つは当然このクルマを上回ることであり、それは可能だと考えています」

次期『プジョー208』を予見する『ポリゴン』コンセプト
次期『プジョー208』を予見する『ポリゴン』コンセプト    プジョー

こうした動きは、プジョーとルノーによる歴史的なホットハッチ競争を想起させる。初代205 GTiはルノー5 GTターボの最大のライバルとなり、後の206 GTiとクリオ172でも両社は真っ向から対峙した。

ファヴェ氏はまた、「プジョーが卓越したドライビング感覚を体現するブランドであることを明確に示す」ためにGTiの復活が必要だったと述べた。

自らの歴史を強調しようとするプジョーの試みは、次期208を予見する新コンセプトカー『ポリゴン』における、205へのさまざまなオマージュからも明らかだ。

高性能バージョンが登場すれば、205 GTiの特徴的な要素である「ペッパーポット」ホイール、赤いピンストライプ、GTiバッジなどを採用し、レトロな魅力をさらに強調するだろう。

2028年頃に登場予定の『308』の次世代モデルも、GTIバージョンの有力候補だ。プジョーは再び、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIなどのライバル車と刃を交えることになりそうだ。

しかし、ガソリンエンジン搭載モデルにGTiのバッジが使われることはないという。本国フランスにおける排出ガス規制が開発コストに大きな負担をかけるためだ。

「フランスはプジョーにとって大きな市場ですが、残念ながら規制が非常に厳しく、CO2排出量に対する罰金が最大7万ユーロ(約1260万円)にも上ります。そうなると、購入することもできません」

「つまり、誰もが憧れる素晴らしいクルマになったとしても、所有すること自体が不可能になるのです。そうなれば完全に実現不可能です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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