【なぜ高速道路の渋滞が起こるのか】2020年はコロナで予測不能 自動運転で「サグ部」渋滞が解消される?

公開 : 2020.12.28 11:05

ETC効果と「サグ部対策」

ボトルネックは、進行方向に対して横方向に進路が絞り込まれることで起こるが、実は交通集中の多くは「上り坂とサグ部」(全体の66%)で起こっている。

そのほかの発生箇所は、接続道路からの渋滞(13%)、インターチェンジ(13%)、トンネル部(4%)その他(4%)、そして注目されるのは料金所部が0%とカウントされていることだ。

渋滞損失時間の推移
渋滞損失時間の推移    ネクスコ東日本

ETC(自動料金徴収システム)機器の装着率は約9割に達しており、慢性的な交通集中を回避することに直結している。

ETCは1997年から一部で試験運用、そして2001年から本格運用が始まった。

渋滞度合いを表す指数である、渋滞損失時間は1997年をピークに2018年では1997年から半減しておりETC効果は大きい。

では、交通集中の主要発生原因となっている「上り坂とサグ部」に対しては、どのような対策が打たれており、その効果は出ているのか?

サグ(Sag)とは、中央が凹んだ形状を指す英語である。ゆるい下り坂から上り坂に移る道路形状を、土木関連用語でサグ部と呼ぶ。

対策としては、黄色地に黒とピンクという目立つ色で「渋滞ポイント・サグ」や「ここれから上り坂」といった道路標識でドライバーへ通知。

また、道路脇に設置されたライトが連続的に点滅し流れを誘導する「ペースメーカーライト」などがある。

つまり……。

自動運転でサグ部渋滞なくなる?

「上り坂とサグ部」渋滞は、ドライバーの錯覚で起こっている。

平坦部と同じようなアクセルの踏み方(アクセル開度)では、上り坂で車速が自然と下がってしまい、車間距離が詰まり、その連鎖反応として渋滞が起こる。

2020年11月、ホンダが世界で初めて自動運転レベル3の型式認定を取得した。
2020年11月、ホンダが世界で初めて自動運転レベル3の型式認定を取得した。    ホンダ

交通量が少ない場合は、後続車への影響は少ないが、交通量が一定量以上に達する交通集中になると「上り坂とサグ部」渋滞が起こる。

道路標識やペースメーカーライトは、ドライバーの視覚を刺激する方法だが、あくまでも二次的な対応にとどまる印象がある。

そうした中、将来的には自動運転機能によって、各車が定速走行することで車間距離を保ち渋滞発生を防ぐ効果が期待される。

現在でも、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)で車間距離の維持は可能だが、将来的には道路インフラ側からの通信による情報提供によって、交通量と走行場所に応じた適切な速度を、走行するすべてのクルマが自動的に設定されることで、「上り坂とサグ部」を筆頭とする交通集中による渋滞が緩和される可能性がある。

2020年11月、ホンダが世界で初めて自動運転レベル3の型式認定を取得したが、こうした技術開発が将来の渋滞抑制にもつながっていく。

2030年代、いや2040年代、高速道路の交通集中・渋滞はなくなっているのだろうか?

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