【バランス良くイイ感じ】ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプへ試乗 後編

公開 : 2021.02.27 19:05  更新 : 2021.05.18 16:24

実用性と車高を高めたタイカン・クロスツーリスモ。動的性能やまとまりの良さは、通常のタイカンから継承しているようです。英国編集部が試作車を評価しました。

感覚麻痺してしまうような怒涛のトルク

text:Piers Ward(ピアス・ワード)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
プロトタイプでの試乗となった、ポルシェタイカン・クロスツーリスモ。航続距離は通常のタイカンとほぼ同等で、400kmくらいになるだろう。

タイカンの試乗記を読まれた方なら、驚くほどのパフォーマンスを備えることをご存知だろう。電気モーターが生み出す鋭い加速力は、何度体験しても感心する。それは、このクロスツーリスモでも変わらない。

ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプ
ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプ

電圧800Vの技術が用いられ、受電許容量は最大で270kWにまで対応する見込み。純EVの充電性能は、現実世界での扱いやすさに大きな影響を及ぼす。クロスツーリスモは、呆れるほどの加速体験を、すぐに路上で試せる急速充電能力を備えるようだ。

クロスツーリスモはツインモーターで、基本的には四輪駆動。タイカンと同じ2段ATをリア側に搭載する。恐らく、0-100km/h加速は3.0秒ほどでこなすと推測できる。タイカンのターボSでは、2.8秒となっている。

全開加速するタイカンのステアリングを握る場合、筆者は度胸を振り絞る必要がある。クロスツーリスモでも。ただし、その加速は異常さを感じるほどでもない。即時的でシームレスに行われる。

スタート直後から変速による一瞬の緩みもなく、ひたすら速度を増していく。感覚麻痺してしまうような、怒涛のトルクに乗って。エレクトリック・スポーツと呼ばれるサウンド・ジェネレーターがオンでも、ほぼノイズはなく、速度感覚が伴わない。

エアサスの素晴らしい乗り心地

とても奇妙な体験でもある。聴覚的には、リラックスした日曜日のドライブの状態。しかし視覚だけでなく、全身の感覚では、ステアリングホイールを握るべきはF1ドライバーだったマーク・ウェバーだと脳みそに思わせる。

エア・サスペンションは忙しなく路面を処理し続ける。周囲の木立はあっという間に後ろへ流れる。だが、社内を包むサウンドはほぼない。

ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプ
ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプ

これは、パワフルな他の電気自動車と同じ体験ではある。まったく容赦ない。これに慣れる日が来るのか、疑問に思えるほど。

フル加速を試すのはこれくらいにして、速度と気持ちを落ち着かせると、乗り心地が非常に良いことがわかる。最初の20mくらいで感じるほど、落ち着きが良い。

試乗したプロトタイプのパナメーラ・クロスツーリスモが履くタイヤは、フロントが235/40 R20で、リアが245/45 R20のスタッドレス。肉厚とはいえないにしろ、クッション機能を果たせるだけのサイドウォールはある。

荒れた舗装路を通過する際の処理能力は、素晴らしい。深く穴の空いたような部分を通過する時以外、車内は平穏に保たれる。

ただし、量産版のスポーツツーリスモ・ターボSでは、通常は21インチ・ホイールを履くという。このサイドウォールの柔軟さは、多少目減りするだろう。

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