アドバンテージは変わらない! ポルシェ・タイカン 4Sへ試乗 アップデートで能力大幅アップ

公開 : 2024.04.12 19:05  更新 : 2024.04.18 09:43

モデル中期の改良を受けたタイカン 予算の25%は航続距離、25%は動力性能に 操舵感と姿勢制御、乗り心地の融合 変わらないアドバンテージ 英国編集部が評価

25%は航続距離に 25%は動力性能に

「資産の半分はギャンブルとアルコール、女性に費やし、残りも浪費した」という名言を残した、俳優かサッカー選手がいたように思う。ポルシェはこんな無駄使いはしないが、マイナーチェンジを受けたタイカンの発表会で、そんなことを思い出した。

一般的に、自動車の開発へ投じられた費用の配分が公にされることはない。しかし同社は、今回あえてそこへ踏み込んだからだ。

ポルシェ・タイカン 4S(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン 4S(欧州仕様)

改良へ準備された予算の内、25%は航続距離の延長に、25%は動力性能の向上に用いられたという。残りは、ボディまわりやインテリア、ホイール、ステッカーなどへ割り当てられたそうだ。

トップグレードに設定されたターボGTには、特別な予算が準備された可能性もある。いずれにせよ、カーボンファイバー製ウイングやカーボンセラミック・ブレーキ、ピレリ・トロフェオRSタイヤなどには、小さくない開発コストが必要そうだ。

ヴァイザッハ・パッケージを組んだターボGTには、それらが盛り込まれる。気になるところだと思うが、それは別途ご紹介する予定だ。

とはいえ、今回試乗した少し穏やかなタイカンも、相当にアップデートされている。中でも最大のトピックが、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を正極材に用いた、三元系バッテリーの採用。容量は、仕様に応じて82kWhか97kWhが用意される。

高出力・高効率なインバーターも開発された。磁石の配置やコイルの巻き方を改め、最大108ps強化された駆動用モーターも実装。急速充電能力も、最大320kWまで対応するという。

航続距離は最長679km ターボSは0-100km/h2.4秒

軽量化に加えて、細かな設計改良も相乗し、航続距離は最長の仕様で445kmから679kmへ伸びている。モデル中期の変更としては、驚くような性能上昇ではないだろうか。

だが、ポルシェの有能な技術者をもってしても、ダイエットできたのは15kgらしい。新たな装備が追加されたことを考えれば、これも相当な数字なのかもしれない。

ポルシェ・タイカン 4S(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン 4S(欧州仕様)

エアサスペンションは、全グレードで標準装備。バックカメラとフロント・シートヒーター、駆動用バッテリー用のヒートポンプ、スマートフォンのワイヤレス充電パッドなども、共通して搭載される。

ラインナップは、1つを除いて従来どおり。シングルモーターの素のタイカンがベースで、その上にツインモーターの4S、更にパワフルなターボとターボSが続く。トップグレードとして、先述のターボGTが頂点を飾る。

シングルモーターの素のタイカンでは、0-100km/h加速を5.4秒から4.8秒へ短縮。ターボSでは、2.8秒から2.4秒!へ縮めたそうだ。

ボディスタイルは、ベーシックな4ドアサルーンに加えて、シューティングブレークのスポーツツーリスモも選択可能。車高を持ち上げたクロスオーバー、クロスツーリスモも従来どおり提供される。

スペインで開かれたメディア向け試乗会では、ツインモーターのタイカンが用意されていた。実際のところ、その中で1番穏やかな4Sでも、必要以上に鋭い加速を繰り出すことには唸らされた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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