【英国生まれの2代目】ホンダ・シビック・タイプR 英国版中古車ガイド 名機のK20 VTEC

公開 : 2021.06.11 08:25  更新 : 2021.07.12 18:45

日本では影の薄い、EP3型のホンダ・シビック・タイプR。かつてのボーイズレーサーは、近年価格が上昇中。英国編集部が中古車としての面白さをご紹介します。

伝説的なエンジンの1つ、K20型

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
モンスター・エナジーやアフターマーケット・パーツのブランドロゴ、VTEC insideといったステッカー。2代目のEP3型ホンダシビック・タイプRでは、お決まりのアイテムだった。

若者にも手が届く身近な高性能モデルであり、ハリウッド映画のワイルドスピードが育んだ日本車のイメージなどが相乗し、そうなる理由は理解できる。そんなボーイズレーサーも、近年は価格が上昇中だ。

ホンダ・シビック・タイプR(EP3型/2001〜2005年/英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(EP3型/2001〜2005年/英国仕様)

中古車サイトを眺めてみると、純正状態のクルマには強気の値段が付いている。英国では、1万2000ポンド(184万円)くらいが一番高い価格帯のようだ。

K20型と呼ばれる2.0LのVTECユニットは、伝説的なエンジンの1つ。レスポンスは極めて鋭く、適正に手を加えれば300psを超える馬力を生み出すことも可能だ。もちろん手を加えずとも、優れた能力は備えている。

ホンダのエンジンとして、信頼性も良好。そのおかげで、英国には状態の良いクルマを残そうという人も少なくない。高くなっている取引価格も、その流れを支えている。

ややカルト的なEP3型の英国での人気は、初めて正式に英国へ導入されたシビック・タイプRであることが理由の1つ。ホンダは以前から高性能モデルで欧州のドライバーを誘引しようと試みてきたが、実際にヒットしたのは、大胆な3ドア・ホットハッチだった。

フォルクスワーゲンにとってのゴルフGTI

初代から確かな評価を得たシビック・タイプRは、フォルクスワーゲンにとってのゴルフGTIのような存在。それは現在でも受け継がれている。FK8型へ進化した5代目シビック・タイプRは、登場から4年が経つ2021年でもホットハッチの王者に君臨している。

EP3型の中古車を探す際、気を付けたいのが今までの履歴。価格帯が上昇傾向なら尚のこと。改造による影響はもちろんあるが、しっかり大切に乗られてきたかどうかは、重要なポイントとなる。

ホンダ・シビック・タイプR(EP3型/2001〜2005年/英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(EP3型/2001〜2005年/英国仕様)

事故歴や走行距離だけでなく整備記録も精査し、前オーナーがどれだけ愛情を注いで維持してきたかを確かめたい。適切な管理さえしていれば、エンジンは耐久性が高い。

燃費は良くても10.0km/Lを少し超える程度だが、日常的な移動手段としても充分に使える。0-100km/h加速は6.6秒で、毎日の通勤も楽しいものにしてくれるだろう。

高値で取引されているのは、純正状態のクルマ。とはいえ、改造されていても内容が良ければ、シャシーやドライブトレインから最高の喜びを引き出すのに一役買ってくれる。

日本仕様のEP3型は、英国仕様より若干パワフル。シャシー設定も異なり、限界領域での挙動の予想を少し容易にしてくれる。サーキット走行を楽しみたいなら、フェロード社製のブレーキパッドなど、チューニングに多少の投資をしてみるのも良い。

どう乗るかに関わらず、まずは間違いのない内容のタイプRを選ぶこと。堅実的に買えるEP3がまだ市場にあるうちに、よく比較して、これぞという1台を手に入れたい。

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