ローマと共通する独特のフェラーリらしさ

ステアリングホイールにもタッチセンサーではなく、実際に押せるハードボタンが残され、悪くない。ダッシュボードの中央には新しいタッチモニターが据えられ、助手席側にも小さなものが1面が用意された。

リアシートもある。ただし、＋2としてもっぱら荷物置きになるだろう。

筆者はこれまで、あまりオリジナルのポルトフィーノへは試乗できてない。最新のローマには、たっぷり乗らせていただいたけれど。

それを踏まえて、ポルトフィーノMの備える特徴は、白眉のローマのカブリオレ版というわけではなさそうだ。だが、共通する独特のフェラーリらしさは感じ取れる。コンバーチブルのカテゴリーの中で、最もシャープな側にある。

ステアリングは快適志向の高級モデル、ベントレー・コンチネンタルGTと比べて極めてクイック。反応も鋭く、切り込んでいっても重さや手応えが増えることなく、素早く旋回していく。

乗り心地はフラットで落ち着きもある。フロントフェンダーの峰が運転席から見えるから、左ハンドル車でも、英国の狭い道を運転しやすい。ライン通りに操れ、ポルトフィーノMを気軽に楽しむことができる。

ルーフを開閉しても、ボディの剛性感が変化する印象はない。傷んだ路面ではステアリングが取られそうになる場面があるが、機敏で有能なマシンであることの裏返しだろう。

カテゴリーで1番のスポーツ寄り

フェラーリの告知映像では、イタリアの湖畔をゆったりクルージングしている様子が描かれている。しかし、素晴らしいドライビングルートを高速で走らせる方が、ポルトフィーノとの相性は良い。メルセデス・ベンツSLなどとは違う。

V8ツインターボエンジンは活発に回り、トランスミッションも意欲的。改良を受けたブレーキは質感が向上し、反応もすこぶるイイ。

最新のフェラーリ・ローマと同じく、フェラーリ・ポルトフィーノMもカテゴリーの中で1番スポーツ寄りの場所にいる。リラックス寄りのモデルとの対局にある。Mとして、優れた特長がさらに磨き込まれたようだ。ローマのように。

フェラーリ・ポルトフィーノM（欧州仕様）のスペック

英国価格：17万5360ポンド（2700万円）
全長：4594mm
全幅：1938mm
全高：1318mm
最高速度：320km/h
0-100km/h加速：3.5秒
燃費：−
CO2排出量：−
車両重量：1570kg
パワートレイン：V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料：ガソリン
最高出力：620ps/5750-7500rpm
最大トルク：77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス：8速デュアルクラッチ・オートマティック

画像　フェラーリ・ポルトフィーノM　競合のオープン・グランドツアラーと比較　全124枚