【PHEV版登場】ランドローバー・ディフェンダー110 P400eへ試乗 日常に一層適合 後編

公開 : 2021.07.30 19:05

プラグイン・ハイブリッド版の新型ディフェンダーが登場。利用シーン次第では最も魅力的なディフェンダーになると、英国編集部は評価します。

PHEVは市街地を中心に効果を発揮する

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)となる、ランドローバーP400e。ハイブリッド・モードでバッテリーがフル充電の状態なら、電気モーターと2.0Lガソリン・ターボエンジンとを巧みに使い分けながら、約120kmを効率的に走れる。

回生ブレーキの出番が多い市街地や郊外の一般道では、燃費は23.0km/Lまで伸びていた。このサイズのオフローダーとして考えれば、かなり優秀といえるだろう。

ランドローバー・ディフェンダー110 X-ダイナミック S P400e (欧州仕様)
ランドローバー・ディフェンダー110 X-ダイナミック S P400e (欧州仕様)

もちろん、高速道路ではここまで伸びない。速度が上がるほど、大きな前面投影面積が影響を与えてしまう。

さらに、回生ブレーキの出番は少なくなり、ほとんどの時間がガソリン・エンジン頼り。バッテリーが空になると、2.0Lのエンジンが2525kgのオフローダーを引っ張ることになる。その結果、燃費は良くても10.5km/Lといったところだ。

はやり、PHEVは市街地を中心に効果を発揮するタイプ。P400eは、他のディフェンダー以上に、利用シーンを定義するモデルだといえるだろう。

1つ興味深いところが、PHEVはオフロードでも意外と能力が高いということ。車重が増えるとはいえ、もしかするとディーゼルエンジンより良いかもしれない。

駆動用モーターは、オンロードでエンジンを力強くアシストしてくれるだけではない。オフロードでは、低回転域から滑らかに発揮されるトルクが活きてくる。わずかにトルクを与えたい状態から、スムーズにレスポンス良く、最大値へ引き上げられる。

しかも音も静か。大自然の音響も楽しめる。

純EVのオフローダーはエキサイティング

ランドローバーの技術者は、近未来の純EV化されるオフローダーがエキサイティングなものになるだろうと考えている。ジープの技術者からも同じ意見を聞いた。必要なパワーを必要なタイヤへ、即座に与えることができるためだ。

ディフェンダーP400eは、まだ完全なEVというわけではない。だが1歩を踏み出し、その入り口には立っている。

ランドローバー・ディフェンダー110 X-ダイナミック S P400e (欧州仕様)
ランドローバー・ディフェンダー110 X-ダイナミック S P400e (欧州仕様)

この1歩は、とても価値があるものだと思う。PHEVのディフェンダーはオンロードでも、多くの場面でディーゼルエンジン版より心地良いクルマだからだ。

市街地ではバッテリーの残量が少ない状態でも、しばしばエンジンが止まる。必要になりエンジンが始動しても、かなり離れたところから、魅力的なビートがうっすら聞こえてくるくらい。

エアサスペンションが標準装備され、乗り心地も優秀。大きなボディにも関わらず、姿勢制御にも優れている。ステアリングは穏やかなレシオで反応は正確。大きなボディから想像する以上に、狭い道でも扱いやすい。

確かに、ボディはもう少し小さくても良かった。それでも、同じくらい大きいボルボXC90より運転しやすく感じるだろう。

ランドローバー社は英国の企業で、英国にはシャシー開発に適した道路環境がある。しかし、新しいディフェンダーのボディサイズは、必然でもあった。販売台数が多い市場では、より大きな四輪駆動車を望んでいたのだ。

この大きさを受け入れて、一緒に暮らすしかない。ただし英国では、この大きさが限度だとは思う。

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