【詳細データテスト】BMW M5 走りは全方位で進化 実用性の犠牲は最小限 まさに究極のM5

公開 : 2021.07.24 20:25  更新 : 2021.07.25 20:10

操舵/安定性 ★★★★★★★★★★

BMWは2020年のマイナーチェンジで、M5に走行モードの新たなスタイルを採用した。タッチ式画面のグリッドが入ったメニューから、サスペンションやステアリング、エンジンや駆動系、そして電子制御のセッティングを調整するものだ。

いうまでもなく、設定の選択肢は多岐にわたる。しかし、自分の好みはもちろん、特定の道路や天候のコンディション、また走らせ方に合ったセッティングのコンビネーションを見つけ、それにアクセスできるチャンスを大いに高めてくれるのが、ステアリングホイール越しにのぞくM1/M2スイッチだ。

サスペンションの出来はM5の既存バリエーションを上回り、ボディコントロールはよりしなやかでバランスがいい。しかも、このサイズの車としてはレスポンスの直感性も俊敏性もすばらしい。
サスペンションの出来はM5の既存バリエーションを上回り、ボディコントロールはよりしなやかでバランスがいい。しかも、このサイズの車としてはレスポンスの直感性も俊敏性もすばらしい。    LUC LACEY

このスイッチは、長押しで特定の組み合わせをセーブするだけでなく、短く2回押せば素早く簡単に元に戻すこともできる。それができることで、このクルマの運転の複雑な部分を徐々に手なずけ、求められる性質をより上質なものにしてくれる。ライバルに、こういうやり方をするものはまだ見られない。

もちろん、これ以前のF90型の各モデルと比べて、シンプルに楽しみは増している。CSのサスペンションは、コンペティションのそれより、上下方向のボディコントロールをずっとスムースで落ち着いたものにしている。

ホイールトラベルがこれ以外のM5より減っているにもかかわらず、ダンパーをソフトなセッティングにしておけば、バンプを踏み越える際にもよりしなやかで巧みにいなしてくれる。通常モデルなら暴れてしまいそうなB級道路でも、挙動は安定して過剰な動きが出ない。

それよりスムースな路面なら、サスペンションをスポーツモードにしても実用に十分足る。ボディコントロールはまさしくタイトになり、それをより魅力的にするのが、アルカンターラ巻きのリム越しに感じる改善されたステアリングのフィードバックだ。より予測しやすく穏やかな、2WDモードでの後輪グリップレベルやドリフト角も効いている。

いかなるときも、M5 CSのハンドリングは、このサイズとウェイトのクルマとしてはじつに俊敏で直感的に感じられ、すばらしくバランスに優れる。M5コンペティションもそうだった、と思うかもしれない。しかし、CSのほうが限界を掴みやすく、一体感がはるかに高く、接地感が一貫し、ずっとスペシャル感の強いドライバーズカーに仕上がっている。

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