V8の550i級に速いぞ! BMW 5シリーズ 550e xドライブへ試乗 技術力を証明するプラグインHV

公開 : 2024.03.04 19:05

BMWが自社の核心だと表現する5シリーズ スポーツサルーンとしての役割を負うプラグインHVの550e 驚くほど速い総合488ps 英国編集部が評価

スポーツサルーンの役割を負うPHEVの550e

BMWは、5シリーズを自社の核心だと表現する。最新世代のG60型も、非常に大きな意味を持つサルーンだといえる。

5シリーズは半世紀以上に渡って、延べ1000万台以上が生産されてきた。このG60型は、その8代目。バッテリーEVのi5は確かに優れているものの、革新的な内容とまではいえない。果たして、内燃エンジン版の印象はそれを超えるだろうか。

BMW 5シリーズ 550e xドライブ(欧州仕様)
BMW 5シリーズ 550e xドライブ(欧州仕様)

もっとも、内燃エンジンが載る5シリーズの展開は多様で、ひと括りも難しい。市場によって、直列4気筒と6気筒のディーゼルと4気筒のガソリン、4気筒と6気筒のプラグイン・ハイブリッドが用意される。最高出力の差は、207psから601psまで3倍近い。

英国市場へ導入されるのは、4気筒ガソリンの520iと、4気筒と6気筒のプラグインハイブリッド、530eと550eの3種類。価格で見ると、520iはi5 M60の半額。今回試乗した550eは、i5 eドライブ40とほぼ同じとなる。

仕様によって印象が異なる5シリーズだが、550e xドライブの場合は、スポーツサルーンとしての役割を負っている。システム総合488ps、最大トルク71.2kg-mという動力性能を誇り、0-100km/h加速は4.3秒でこなす。

それでいて、19kWhの駆動用バッテリーを搭載し、満充電なら最長90kmまでエンジンを使わず走行可能。英国の場合、現物給付税の納付額を抑えたいユーザーにとっても、好適な選択肢となる。

V8エンジンの先代550iを彷彿とさせる

一般的にプラグイン・ハイブリッドの場合、動的性能と経済性の両立が目指されるものの、不充分なレベルに留まる例も少なくない。軽くない駆動用バッテリーを積み車重が増え、走りに影響が生まれ、電気での走行可能距離もさほど長くないためだ。

しかし、550e xドライブは例外。直列6気筒ターボエンジンと駆動用モーターがしっかり協働し、秀でた動力性能を得ている。しかも、電気だけで走れる距離も実用に堪える。

BMW 5シリーズ 550e xドライブ(欧州仕様)
BMW 5シリーズ 550e xドライブ(欧州仕様)

実際にステアリングホイールを握れば、驚くほど速い。V8エンジンを積んでいた、先代の550iを彷彿とさせるほど。M5のように爆発的な激しさはないものの、これ以上は必要ないと思えるほど。

直6エンジンが放つサウンドも素晴らしい。全身を震わせるような、刺激的な音響を堪能できるサルーンは、近年の例では稀でもある。

ドライブモードをスポーツにすると、内装の間接照明がレッドへ変化。シートは、サイドボルスターの位置が僅かにタイトになる。

このモードでの550e xドライブは、スポーツを越えて、さながらマッスルカー。完全な制御下にシャシーをおきながら、派手なテールスライドでカーブを脱出できる。減税効果の高いモデルだとは、とても思えない。

シフトダウン用パドルを引くと、駆動用モーターが最大10秒間、全力でアシストを加える。ヘッドアップディスプレイには、そのカウントダウンが表示される。子どもっぽい演出にも思えるが、試してみると案外楽しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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