【シャシーはクラス上位】ホンダHR-V(ヴェゼル)へ英国試乗 人と機械の良い関係

公開 : 2021.10.30 08:25

インテリア素材の統一感へヒトコト

さて、「マン-マキシマム、マシン-ミニマム」を主張する仕上がりはどれほどだろう。発進させてみると、直感的でとても運転しやすいことがわかる。

ただし、ドライビングポジションはコマンドスタイルというより、シートの上に乗せられた感じ。ルーフの位置も、競合するクロスオーバーより低く感じられる。それ以外は好感触で、シートはサポート性にも優れる。

ホンダHR-V(ヴェゼル)i-MMTアドバンス eCVT(欧州仕様)
ホンダHR-V(ヴェゼル)i-MMTアドバンス eCVT(欧州仕様)

エアコンやオーディオのボリューム、運転支援システムなど、頻繁に操作したい機能には実際に押せるハードボタンが残されている。インフォテインメント・システムは反応が素早いわけではないものの、使い勝手は良好だ。

車線維持支援システムは、舗装状態が新しく白線もきれいに引かれたドイツの道では、良く機能していた。アダプティブ・クルーズコントロールは、車間距離が開いて加速するまでに少し待つ印象を受けた。

インテリアには、風合いに優れる素材と、そうではない素材が混在している。シートのファブリックやステアリングホイール、ボタン、アームレスト、ダッシュボードにあしらわれた合成皮革などは非常に印象が良い。

一方でシフトノブは冴えないゴムコーティング。ダッシュボードの合成皮革以外の部分も、テクスチャー処理が高いとはいえない。1980年代のコンパクトカーのように感じてしまった。

質感の良いシャシーなどプラス要素は多数

一般道での走りは非常に洗練されたもの。高速クルージング時や市街地でも、ノイズは最小限に抑えられている。乗り心地にも、クラストップといえるしなやかさがある。

コーナーへ速めに侵入するとボディロールが生じるが、操舵時に少し粘るような感触のあるステアリングホイールへは、少ないながらもタイヤからの情報が伝わってくる。グリップ力にも不足はない。

ホンダHR-V(ヴェゼル)i-MMTアドバンス eCVT(欧州仕様)
ホンダHR-V(ヴェゼル)i-MMTアドバンス eCVT(欧州仕様)

反面、シャシーの質感が優れるだけに、ハイブリッド・システムの振る舞いが気になってくる。少し鋭い加速を求めると、CVTの躊躇するような動きに気を揉んでしまう。

エンジンはしばしば急激に回転数を高め、小さくないノイズを車内へ響かせる。ステアリングホイールにも、僅かな振動が伝わっているようだった。表示されていた燃費は15.9km/Lと悪くないだけに、少々残念ではある。

英国ではハイブリッドのみとなった新しいホンダHR-V(ヴェゼル)には、好ましい要素が沢山ある。シャシーはクラス上位のまとまりがあり、過度なデジタル技術で運転中にイライラすることもない。

インテリアも、素材の知覚品質にばらつきはあるものの、充分に心地良い。荷室容量は小さいとはいえ、知的なレイアウトで実用性も高いといえる。

英国価格はルノーアルカナトヨタC-HRのハイブリッド版と同等。「マン-マキシマム、マシン-ミニマム」は充分に達成できていると思う。唯一、ハイブリッド・システムの更なる磨き込みに期待したい。

ホンダHR-V(ヴェゼル)i-MMTアドバンス eCVT(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万9210ポンド(444万円)
全長:4340mm
全幅:1790mm
全高:1582mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:10.7秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:122g/km
車両重量:1380kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc自然吸気+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/6000-6400rpm(システム総合)
最大トルク:25.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:CVT

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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