アウディR8/RS6アバント/eトロンGT試乗 速いアウディ乗り比べ それぞれの方法論

公開 : 2021.12.08 05:45  更新 : 2021.12.09 10:47

eトロンGT 足りない「万能感」

eトロンGTクワトロは、個人的に初乗りの1台。

「とってもいい!」という周囲の声が聞こえてきているが、タイカンの出来の良さを知っているこちらとしても「まぁそうだろうな」という感じ。

アウディeトロンGT
アウディeトロンGT    山本佳吾

サーキットではどうか?

今回は高性能モデルであるRS eトロンGTも用意されていたのだが、われわれにあてがわれたのはタクティクスグリーンという不思議な緑色をしたeトロンGTの方だった。

ピットアウトの加速はシームレスで力強い。

それでいてフロントが浮き上がるそぶりもなく、室内は静かに保たれている。

コーナリングでは床下に敷き詰められたバッテリーの重さがしっかりと感じられ、そのおかげで路面にベターっとへばりついている感じ。

大したロールもせず、ただただ横Gだけが高まっていくので、いつの間にかこちらは首を持っていかれまいとして頭をコーナーの内側に傾けていたりする。

これは背の低いBEVならではのドライブフィールだが、まるでGTレーシングカーのようでもあり、けっこうキツい。

さらにペースを上げていくと、いよいよ走行ラインを選べなくなってきた。車重に対して少しタイヤが負けている感じ。

オプションの後輪操舵もないし、RSモデルに装備されるリアの電制LSDもないので、このあたりが限界か。

軽量スポーツカーは体脂肪率が低い素のモデルこそ王様だが、アウディは逆。

究極のアウディらしい万能感を味わうためには重力を相殺するようなオプション装備が必要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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