フォルクスワーゲン新型『トゥーラン』導入か コンパクトな「電動ミニバン」検討中

公開 : 2025.06.11 07:45

フォルクスワーゲンは実用性重視のファミリーカーとして、小型のミニバンを導入する可能性があります。社内で検討が進められており、既存の『ID.Buzz』よりもコンパクトなEVになると予想されています。

ID.Buzzより小型のEVに? 実用性重視

フォルクスワーゲンは、『トゥーラン』の後継車となるコンパクトミニバン(MPV)の導入を検討している。SUVに代わる実用的なファミリーカーとしてグローバルに発売する可能性がある。

この新モデルは2016年公開の『Budd-e』など、過去のEVコンセプトカーからインスピレーションを得ているという。Budd-eは、現在のフォルクスワーゲンのEVのベースとなっているMEBプラットフォームの初期バージョンを採用していた。

2016年のCESで公開された『Budd-E』コンセプト
2016年のCESで公開された『Budd-E』コンセプト

プロジェクトに詳しい関係者によると、フォルクスワーゲンは最近、さまざまなミニバンのコンセプトカーを保管庫から引き出し、デザインとパッケージングに関する会議やプレゼンテーションに活用しているという。

SUVモデルが数多く市場に出回る中、ファミリー向けに特化したミニバンは、特に欧州および中国市場において商業的な意義があると社内で再認識されているようだ。

市販化の決定はまだ行われていないが、もし実現すれば、ID.Buzzの下位モデルとして位置付けられ、小型で軽量、そして手頃な価格設定となるだろう。

新モデルのデザインの方向性は不明だが、2011年公開のBulliや2016年のBudd-eといったコンセプトカー、および現行の2代目トゥーランや2014年のゴルフSVなどの量産車から影響を受けるものと予想される。

ドイツのタクシー会社をはじめ、ミニバンの顧客層が求める広い車内空間と汎用性を実現するため、直立した箱形シルエット、ショートオーバーハング、フラットなフロア、高いルーフラインなどを採用する可能性がある。

2016年のBudd-eコンセプトは、全長4597mmで、2代目トゥーランより約70mm長く、標準ホイールベースのID.Buzzより124mm短い。

関係者によると、最近発表されたジーカーMIX(Zeekr MIX)などの現代的なライバル車を意識しながら、新しいスライドドア機構とシートレイアウトが開発されているという。

既存のID.Buzzはプレミアム志向の顧客をターゲットとしているが、新モデルは「スライド式リアドアと日常使いでの高い利便性を備えた、実用本位のEV」を求めるファミリー層向けと言われている。

新モデルを求める圧力は、トゥーランのファンだけでなく、中国から台頭する新世代の電動ミニバンからも来ている。特に、ジーカーMIXのようなモデルはユニークなスライドドアと高い柔軟性を誇り、注目を集めている。

2003年に発売されたトゥーランは、2世代にわたってフォルクスワーゲンの欧州ラインナップの主力モデルとなった。近年はSUVの影に隠れているものの、世界累計販売台数260万台を超える大人気モデルである。

まだ開発の初期段階ではあるが、新型ミニバンはフォルクスワーゲンのMEB+プラットフォームのさらなる進化版、または新しいSSPプラットフォームを採用すると見込まれる。

駆動用バッテリーの容量は60~80kWhで、シングルモーターの前輪駆動またはデュアルモーターの四輪駆動が用意されるだろう。

市販化の承認が下りれば、2027年か2028年頃に発売される可能性がある。車名に関して、フォルクスワーゲンは現在の『ID』と数字を組み合わせる命名戦略から脱却する方針のため、『トゥーラン』の名が与えられるかもしれない。

記事に関わった人々

  • グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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