三菱ふそう、三菱、ヤマト運輸、米アンプル4社による、交換式バッテリーEVの実証を9月より都内で実施

公開 : 2025.06.10 09:05

バッテリー交換式の商用EVでの集配業務やバッテリー交換ステーションでの運用などの合理性や問題などを実証する試みが9月より東京都内で実施されます。EV普及のボトルネックと言われる『充電問題』を解決する糸口になるのでしょうか。

バッテリー交換EVソリューションの実証

三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車、アンプル、ヤマト運輸の4社は、バッテリー交換式電気自動車とバッテリー交換ステーションの物流業務における実用性の実証を、2025年9月から東京都で行うと発表した。

日本政府は、2050年カーボンニュートラル社会の実現と、2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%低減を目指しており、2022年時点で日本の総CO2排出量の約19%を占める運輸業界における商用車の電動化が喫緊の課題となっている。

三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車、アンプル、ヤマト運輸の4社が9月より東京都内でバッテリー交換式EVの実証を実施。
三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車、アンプル、ヤマト運輸の4社が9月より東京都内でバッテリー交換式EVの実証を実施。    三菱

バッテリー交換式EVは従来の充電方式と比較して、車両の待機時間を短縮できる利点があり、ドライバーの負担軽減や物流効率の向上が期待される。

都内に14基のバッテリー交換ステーション

バッテリーの交換には、EV向けのバッテリー交換システムを開発する米国のスタートアップ企業アンプルのバッテリー交換ステーションを採用する。

アンプルのバッテリー交換ステーションは、コンパクトで短時間での組み立てが可能なため、都内のような高密度な都市環境においても効率的なインフラ整備を実現し、実用的なEVシフトのソリューションとなり得る。

三菱ふそう eキャンター
三菱ふそう eキャンター    三菱

また、以前より実証を進めていた三菱ふそう、アンプル、ヤマト運輸に加え、2011年より軽商用EV『ミニキャブ・ミーブ(現ミニキャブEV)』を市場投入し、長年の知見と経験を有した三菱自動車が参画することで、さらに幅広い物流事業者のニーズに対応する。

今回の実証では、都内のに14基(予定)のアンプル製バッテリー交換ステーションを設置し、バッテリー交換式に改造した三菱ふそう『eキャンター』および三菱『ミニキャブEV』をヤマト運輸の集配業務で実際に使用する。

その上で、1.バッテリー交換式EVの大規模運用、2.バッテリー交換ステーションにおける異なるブランド・サイズの車両の運用、3.集配業務における実用性や車両性能、4.内燃車、充電式EVと比較した経済合理性、5.交換式バッテリーEVの運用における各種基礎データの取得といった実証を行っていく。

4社はこの実証を通じて、バッテリー交換式EVの実用と、商用EVのさらなる普及に向け、バッテリー交換技術の確立と運用基盤の構築を目指す。

さらに温室効果ガス排出量の削減に向けて、バッテリー交換ステーションでの再生可能エネルギー由来電力の使用を検討している。

また、今回の実証の開始にあたり、実証に参加する車両メーカーや物流事業者などのパートナーも募集する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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