482万8000kmのギネス記録 ボルボP1800 英国版中古車ガイド 北欧美人のクーペ

公開 : 2022.03.07 08:25

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ロバート・ウィットン氏:フェニックス・クラシック・レストレーションズ社代表

「P1800の多くの部品は、今でも比較的簡単に手に入ります。いくつかは既に購入できなくなっていますが、少なくともブッシュ類や一般的な整備に必要なものは、まだ入手可能です」

ボルボP1800(1960〜1973年/英国仕様)
ボルボP1800(1960〜1973年/英国仕様)

「見た目の個性や希少性を重視するなら、ジェンセン時代のP1800が良いでしょう。多くの人が信頼性に問題があると考えており、実際にスウェーデンへ生産が移された理由でもありますが、それに対応するのも楽しいかもしれません」

「現代のクルマとは違います。クラシックカーを選んでいるわけですし、多くの問題は解決できるものです」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

特に英国で作られていた初期のP1800は珍しく、交換用のボディパネルは出てこない。ただし、酷く状態の悪い例は少ないようだ。

一方で、1963年以降のP1800 Sでは、サイドシルやドアの下面、フェンダー、ヘッドライトのマウント部分などが錆びやすい。燃料タンクの取り付け部分も確認したい。

ボルボP1800(1960〜1973年/英国仕様)
ボルボP1800(1960〜1973年/英国仕様)

これまで取引価格が手頃だったため、ボディの修理が充分ではないこともある。養生した磁石と懐中電灯で、予めボディの状態はしっかり確かめたい。パテが盛られていると、磁石がつきにくい。

クロームメッキのバンパーが傷んでいたら、新しいものと交換が可能。英国ではステンレス製の新品を、約700ポンド(約11万円)で入手できる。

インテリア

日差しが強く当たる乾燥した状態は、ゴムやレザーを傷めてしまう。ウインドウシールやシートカバー、ダッシュボードなどの交換は想定しておきたい。1800 S以降のシートの方がクッションが厚く、ジェンセン時代のものより快適とされている。

サスペンションとブレーキ

しばらく交換されていなければ、ブッシュやボールジョイント類はリフレッシュしたい。ポリウレタン製を選ぶと、寿命とパフォーマンスを伸ばせる。オリジナルのゴムブッシュは、数年程度で劣化してしまう。

ブレーキ・ブースターからフルードが漏れ、ブレーキが効かなくなる可能性がある。リアドラムの分解には、ボルボの専用ツールが必要だ。

エンジン

ギネス記録に残るように、この4気筒エンジンは長寿命。それでも、定期的なメンテナンスは不可欠だ。

キャブレター仕様の場合、燃料ホースの劣化やキャブレター自体の汚れで、始動性が悪くなったり回転が不安定になる。状態が良くても、燃料インジェクションでない場合は、アイドリングが不安定になりがち。

走行距離が長い場合は、ピストンの圧縮状態を確かめたい。排気ガスの白い煙なども、内部構造の摩耗のサイン。バルブシートやピストンリングの交換を検討したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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