北欧高級EV、ポールスターは「逆境」どう乗り越える? 需要低下とボルボ資金援助終了の影響は

公開 : 2024.04.04 18:45

ボルボからの出資比率引き下げと、EV需要軟化に対してポールスターはどう向き合っているのか。同社CEOは資金調達に「自信」を見せ、計画中の新型車についても語った。

「発表の順番間違えた」 資金調達に自信あり

スウェーデンの高級EVブランドであるポールスターは、世界的なEV需要の軟化に対しどのように向き合っているのか。ボルボから独立し、中国の巨大企業ジーリー(吉利汽車)の傘下で増収しているが、順風満帆というわけではない。

今年2月、ボルボがポールスターへの出資比率を48.3%から18%に引き下げると発表した。しかし、ポールスターのトーマス・インゲンラートCEOは取材に対し、他の資金調達先を常に探してきたため、株式構成が変わることは「劇的な事態ではない」と述べた。

新型EV「ポールスター4」
新型EV「ポールスター4」

「ボルボやジーリーに『パパ、ママ、お金が必要なんだ』と言いに行かなくても、資金を調達する方法を見つけなければなりません」

ボルボによる出資比率引き下げのニュースから2週間後、ポールスターは新たに9億5000万ドルの資金調達に成功したと発表した。インゲンラートCEOは、発表の順番を間違えたと嘆いた。

「2月末に9億5000万ドルのクラブローンを組んだと発表しましたが、ボルボがポールスターの所有権を縮小するという大きくて悪い見出しに対抗するには、2週間遅かった。誰もが危機的状況に陥ったと考えていたので、資金調達のニュースを2週間早く伝えられなかったのは残念です」

ポールスターは、今後の新型車の開発完了と量産化に総額13億ドルが必要だと推定されているが、インゲンラートCEOは未調達の3億5000万ドルも確保できると自信を見せている。

「これだけのことをやってきたんです。もちろん、残りの資金を何とかする自信はあります」

EV需要の軟化については「影響は避けられない」とし、「当社製品の素晴らしさを伝えるために、さらに努力しなければいけない」と述べた。

しかし、「当社はBYDでもなければ、テスラでもありません。販売台数も何百万台とあるわけではなく、それだけの工場もありません。当社には、プレミアムでラグジュアリーなターゲットユーザーと、それに対応した明確なポートフォリオがあります。大衆市場のボリューム・ゲームには参加していないのです」と付け加えた。

ポールスターは、今年初めに全世界の従業員の約15%(約450人)の削減を決定した要因として、「厳しい市場環境」を挙げている。

また、EV需要の軟化を考慮して業績予測を若干下方修正し、2025年の販売台数を15万5000~16万5000台とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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