トヨタbZ4X&スバル・ソルテラ試乗 BEVの給電を減らして、ドライビングを楽しむ方法

公開 : 2022.06.15 11:45

トヨタbZ4X&スバル・ソルテラに試乗。電力を上手に使い、ドライビングを楽しむ方法を紹介します。

話題の兄弟BEVにいざ

すでにAUTOCARには何度も登場しているようだが、トヨタスバルが共同開発した新BEV、トヨタbZ4Xとスバル・ソルテラ、そのエコなドライビングの楽しみ方と、それぞれの乗り味について書いてみよう。

本州の中央部分を東京発でグルリと右まわりするこの試乗会、僕が走ったのはその最後の部分で、長野県の軽井沢から東京は水道橋のトヨタ本社まで、200km強という行程。

スバル・ソルテラ
スバル・ソルテラ    スバル

夏の保養地として知られる軽井沢は標高1000m近い高地だから、そこから東京まで走ると、道路としては基本的に下りというのがこのルートの最大の特徴だ。

ルートは軽井沢から埼玉県秩父地方の景勝地たる長瀞まで、下道の山道をいく第1区間と、長瀞から前半が下道、後半が関越道に乗ってトヨタ本社のある東京水道橋まで走る第2区間に二分されていて、僕に与えられたクルマは第1区間がスバル・ソルテラのAWD、第2区間がトヨタbZ4Xの4WDだった。

まずはソルテラの、普通のハッチバックやセダンより高めのコクピットに収まって、運転姿勢を調整。

上級モデルゆえシートは電動式で、好みのポジションが得やすいが、ちょっと問題なのはステアリングとメーターパネルの上下関係だった。

最近のプジョーに多いステアリングの上からパネルを見るスタイルだが、その位置関係は少々中途半端な印象で、僕の好みの位置にステアリングを設定すると、メーターパネルの下の方がステアリングに切られてしまう。

Sペダルドライブの恩恵

軽井沢を南下して右折すると、よく裏道として使ったことがある急な下りのワインディングロードに出る。

そこでBEVならではの裏技、回生ブレーキの効きを一気に強める「Sペダルドライブ」のスイッチをプッシュすると、ドライビングにぐっとメリハリが出た。ちなみに「Sペダル」とは「シングルペダル」を意味するのだろうと思う。

長瀞からはトヨタbZ4Xに乗り換えて東京水道橋を目指し快走。
長瀞からはトヨタbZ4Xに乗り換えて東京水道橋を目指し快走。    トヨタ

それをオンにしておくと、アクセルペダルを戻すとグーンと回生ブレーキが効いて減速、完全に停止するにはブレーキペダルを踏む必要があるが、下りのコーナーではほとんどブレーキを踏まずに安全にコーナリングしていける。

しかもこのSペダルドライブ、ブレーキを多用しなくて済むだけでなく、減速エネルギーを回生してバッテリーに充電するという、素晴らしい機能を持っている。

つまり、ワインディングでのドライビングをイージーかつ安全なものにすると同時に、BEVの弱点になりがちな限られた航続距離を伸ばすという、嬉しい能力を発揮してくれるのだ。

その結果、軽井沢を出るときに270kmだったソルテラの走行可能距離は、トリップメーターで102.2km走って長瀞に着いたときに218kmを示していた。

Sペダルドライブによる回生の恩恵で、実際の走行距離の半分しか減っていなかったのだ。

したがって1度も給電しなかった僕のソルテラは、10台の試乗車中の1位で長瀞に着いたのだった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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