デロリアン復活 「アルファ5」米国で実車公開 日本導入は? デロリアンDMC-12オーナーが思うこと

公開 : 2022.08.19 11:47  更新 : 2022.08.20 14:06

デロリアンDMC-12オーナーはどう見る?

さて、EVとなった新生デロリアンだが、実は初代デロリアンの時代から(とくに2013年前後)「EV化」の話は何度か持ち上がってきた。

実際に予約を開始した会社もあるが1台も納車はされていない。結果的に初代デロリアンのEVは発売されることはなかった。

藤井さんはデロリアンを自作でEV化した。
藤井さんはデロリアンを自作でEV化した。

しかし、EVを自作したデロリアンオーナーは日本に存在する。

映画で出会ったデロリアンの魅力に取りつかれ、急速充電CHAdeMOにも対応する本格的なデロリアンを自作した。広島県在住の藤井智康さんがその人。

以前、AUTOCAR JAPANで「日本にもいた! 10年前にデロリアンをEVにした男 世界で唯一、急速充電に対応」という記事を書いた。その時にお話をうかがった方だ。

藤井さんは「大好きなデロリアンを長く乗り続けるためにEVにコンバートした」という。

EVとなって華々しく復活した新型デロリアンをどのように見ているのだろうか?

「アルファ5の登場を前に、デロリアンのオーナー仲間とは『今後は愛車のことを、デロリアンの前に、オリジナルとか、ステンレスの方って言わないといけなくなるね』と笑いながら、期待を寄せています」

「デロリアンの特徴はガルウイングを含む直線的で秀逸なジウジアーロ・デザインとステンレスの外装だと思っています。DMC-12とアルファ5は、ガルウイング以外にデザイン的な共通点が少なく、むしろヒョンデアイオニック5の方が、オリジナルデロリアンの系譜に近いEVかもしれませんね」

「アイオニック5はジウジアーロがデザインしたポニーの流れをくむスタイルで、まさにジウジアーロデザインへのオマージュと言えます」

日本での正規輸入、販売はある?

前述の藤井さんはつづける。

「新型のデロリアン・アルファ5は純粋に現在のトレンドに沿ったかっこいいEVとして見ていくべきでしょう。むしろアルファ5の登場で、あらためてDMC-12の素晴らしいデザインに注目が集まるというのは、とても喜ばしいことだと思います」

ペブルビーチの豪邸を借り切ってVIPやSNSのインフルエンサー達を集め、新型デロリアン・アルファ5に至る歴代コンセプトカーの模型が公開された。
ペブルビーチの豪邸を借り切ってVIPやSNSのインフルエンサー達を集め、新型デロリアン・アルファ5に至る歴代コンセプトカーの模型が公開された。    Ben Hsu(japanesenostalgiccar.com)

「実は初代デロリアンのEVが出るのをとても楽しみにしていたのですが、途中から新デザインのアルファ5になりました」

「結果としてわたしが2007年からプロジェクトを始め、2009年に公道デビュー、以後もアップグレードを続けている、自作『EVデロリアン』の評価は、しばらく続きそうです(笑)」

なお、初代デロリアンのEVについてはDMCからも発表をにおわせるなど、何度かうわされてきたが結局実現してこなかった。

事情に詳しい人の話では初代デロリアンの特徴であるステンレスが量産車としてボディに使用することが現在の安全基準にあわせるのがとても難しいというのがその主たる理由。

今年2月に米国FMVSS(保安基準)が改正され、少量生産のレプリカ車としてなら免除プログラムの適用で可能となったが、台数などに諸々の制限がある。

ところで、この新型デロリアン・アルファ5。量産体制が整う2024年以降、日本への輸入はあるのだろうか?

現在のところ日本には並行輸入の専門店はあるが、DMCの正規代理店的な立場の会社は存在しない。

これから1~2年の間に体制が整うことを願うばかりである。

なお、アルファ5の実車が公開された数時間後、同じくペブルビーチの豪邸を借り切ってVIPやSNSのインフルエンサー達を集め、新型デロリアン・アルファ5に至る歴代コンセプトカー(アルファ2/3/4)の模型が公開された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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