大馬力と操縦性を両立 フォード・マスタング CS850 Rへ試乗 チューニングで859ps

公開 : 2022.08.19 08:25

英国のクライブ・サットン社が入念に手を加えたマスタングへ英国編集部が試乗。バランスの良い仕上がりのようです。

最高出力859ps 最大トルク91.7kg-m

英国ロンドンを拠点とする輸入代理店であり、多様な自動車のチューニングを手掛けるクライブ・サットン社。彼らが以前から目をつけているモデルが、フォードのマッスルカー、マスタングだ。

今回のCS850 Rは、公道だけでなくサーキット走行も前提に、通常以上に元気なモデルへ仕立てられている。定期的にAUTOCARをお読みいただいている方なら、CS850 GTへ試乗したことをご記憶かもしれない。

フォード・マスタング CS850 R(英国仕様)
フォード・マスタング CS850 R(英国仕様)

このマスタング CS850 Rの場合は、よりハードコアな仕様といえる。スーパーチャージャーで過給される5.0 V8エンジンから、859psもの最高出力を引き出している。最大トルクは91.7kg-mに達する。

これほどのパワーでありながら、トランスミッションは6速マニュアルで、後輪駆動だ。さらに、ファイナルレシオがショート化され、加速力を一層高めてある。

トルク感知式のリミテッドスリップ・デフも装備。サーキットなどでは、高められたコーナリング時の操縦性を確認できるのだろう。

マスタングの特長を巧みにレベルアップ

サスペンションは、CS850 GTの場合は磁気流体を用いた可変レシオのダンパーだったが、CS850 Rではスティーダ社製のプロアクション・ダンパーを採用する。よりボディの動きを引き締め、精度の高い操縦性を実現させたという。

アンチロールバーとストラットブレースなどは、CS850 GTと共有。ノーマルのマスタングから、シャシー剛性も高めてある。その結果、サーキットへ焦点を当てながらも、極めて魅力的なマッスルカーへ仕立てることに成功したようだ。

フォード・マスタング CS850 R(英国仕様)
フォード・マスタング CS850 R(英国仕様)

マスタングは基本的にアメリカ大陸の横断を前提とした、長距離クルージングを得意とするクーペだった。ドラッグレースも得意だが。

クライブ・サットン社が手掛けたCS850 Rは、その特長を巧みにレベルアップさせたといえる。乗り心地の快適性も失われていない、ロードカーだ。

サスペンションは、路面の鋭い隆起部分などを上手にいなしてくれる。それでいて、姿勢制御は一層タイトでもある。

ステアリングホイールの重さは、ドライバーが調整可能。操作に対する反応はリニアで、レスポンスも良い。フロントタイヤの状態を、しっかり理解することもできる。

アクセルペダルを踏み込めば、ショート化されたギア比と圧倒的なパワーで、リアタイヤを空転させることなど朝飯前。それでも安定性は失わず、バランスの取れたシャシーと懐の深い能力を備えることがうかがえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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