【詳細データテスト】BMW M4 速さと快適性を両立 軽量でも装備充実 シートは標準仕様がベスト

公開 : 2022.11.26 20:25  更新 : 2022.12.02 03:06

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

M4 CSLは通常のM4ほどリファインされておらず、フィルターのかかっていない類のクルマだ。そのことは、騒音計が示している。

とはいえ、運転するのに耳栓が必要なハードコアスペシャル、というわけではない。ロングドライブを終えて、明かりもつけない部屋に横たわりたくなるようなことにはならない。

パフォーマンスのわりに、乗り心地もノイズも苦にならないレベルだ。視界を遮るウイングやロールケージもない。ただし、オプションのシートはわずかながらペダル操作の支障になる。
パフォーマンスのわりに、乗り心地もノイズも苦にならないレベルだ。視界を遮るウイングやロールケージもない。ただし、オプションのシートはわずかながらペダル操作の支障になる。    LUC LACEY

荒れた路面では、リジッドマウントのアクスルが、サーフェイスノイズとバスドラムのような重低音を発する。低速では、思いがけず尖ったエッジに遭うと、室内まで打撃音が伝わってくる。

とはいえ、乗り心地に粗いところはほとんどない。それこそ、このクルマがサーキットでの速さを突き詰めたのではなく、ロードゴーイングカーとして全般的に使いやすいものを目指したことを示すなによりの証拠だ。

M4コンペティションの室内騒音は、英国での一般的な巡航速度となる80km/hでは68dBAだったが、CSLは69dBAだ。ちなみに、ロールケージ付きのポルシェ911 GT3は75dBAだった。

テスト車のシートはオプションで、乗り降りはややトリッキーだが、快適性とアジャスト性は上々だ。ただし、クッションの脇にそびえるサポート部がふとももをガッチリ押さえるので、右寄りのペダルオフセットがことさら気になってしまう。

驚くほど上質なクルマではあるが、ひとつだけ重要な条件がある。シートは標準装備のレーシングバケットを選ぶべきだ。ロールケージや巨大なリアウイングが装着されていないので、視認性は全方位とも遮られない。キャビン内の騒音も乗り心地の快適性も、日常使いの支障になることはまったくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事