BMW i7 詳細データテスト 静粛性と乗り心地は秀逸 4WSの俊敏さは驚異的 航続距離は要改善

公開 : 2023.02.25 20:25  更新 : 2023.03.04 23:07

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

EVサルーンに関して、BMWのようなメーカーが踏襲できるほどうまくいくテンプレートは、今のところ存在しない。メルセデスはEQSを、Sクラスとはまったくの別物に仕立てたことで、設計やデザインに大きな自由度が生まれた。しかしBMWは、内燃エンジンを含む7シリーズのラインナップの一部として、電動化モデルを用意した。

このアプローチが、短期的にも長期的にも商業的に成功を収めるかどうかは興味深いところだ。また、今回も賛否分かれるルックスで現れた大きなBMWに、マーケットがどのような反応を示すのかも。このエクステリアについて、ロードテスターのリアクションはまちまちだが、ずんぐりして巨大なグリルを備える外観が魅力的だという声は上がらなかった。

巨大なキドニーグリルは好評を得ているとは言い難いが、新型7シリーズにも採用された。暗くなると、内蔵されたイルミネーションにより存在感が増す。しかし、オプションのMスポーツ・プロ仕様であっても、ブラックアウトする必要はあるのだろうか。
巨大なキドニーグリルは好評を得ているとは言い難いが、新型7シリーズにも採用された。暗くなると、内蔵されたイルミネーションにより存在感が増す。しかし、オプションのMスポーツ・プロ仕様であっても、ブラックアウトする必要はあるのだろうか。    MAX EDLESTON

このi7 xドライブ60は、G70世代の7シリーズのラインナップのひとつだ。今後登場する750eとM760eは、3.0L直6ガソリンターボと電気モーターを搭載する。全車種とも4WDのxドライブで、出力は490psから660psだ。

英国仕様に、0-100km/hが5秒を超えるものはないが、これはガソリンやディーゼルのマイルドハイブリッド導入を見送ったからだ。その大胆な決断は、10万ポンド(約1620万円)以下のモデルが販売されないことにもつながっている。

導入の有無はともかく、パワートレインの設定は幅広い。それに対応するべく、i7のプラットフォームはEV専用とはできなかった。ただし、このCLARアーキテクチャーは、内燃エンジンにも完全電動車にも対応可能だ。

全車ともロングホイールベース仕様で、全幅と全高は先代G11/G12より50mmほど拡大。フロントトレッドも、同じくらい拡がっている。

サスペンションには、車高調整式エアスプリングとアダプティブダンパーが標準装備される。従来はスティールスプリングの標準装備にこだわっていたサルーンが、大きく方向転換を図ったわけだ。インテグラルアクティブステアリングこと4WSや、エグゼクティブドライブと銘打たれたアクティブスタビライザーはほとんどのモデルにオプション設定される。テスト車には、どちらも搭載されていた。

EVのi7 xドライブ60は、前後各1基の励起電気モーターを搭載。リアのほうがパワフルな設定だ。前後トータルでの最高出力は543ps、最大トルクは75.9Nmで、AMGではないメルセデスEQSを凌ぐには十分だが、テスラモデルSプレイドの領域には及ばない。床下のスペースを占める駆動用バッテリーは101.7kWhで、この容量は同等のEQSほどではないが、ジェネシス・エレクトリファイドG80は上回っている。

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