3.0L直6ターボ+モーター BMW 7シリーズ M760e xドライブへ試乗 新型のベストはBEV版

公開 : 2023.07.05 08:25  更新 : 2023.07.07 08:50

Sクラスの有力対抗馬の1台、7シリーズがモデルチェンジ。プラグイン・ハイブリッドのM760eを、英国編集部が評価しました。

3.0L直6ガソリンターボに197psのモーター

BMW 7シリーズの運転席へ座ると、ひと味違うラグジュアリー・サルーンだと気付く。ボンネットに収まるエンジンから、特徴的なサウンドが耳へ届くからだ。BMW M3とは違う目的のサルーンだが、他のプラグイン・ハイブリッドとも違う。

今回試乗したM760eの主な動力源となるのは、3.0Lの直列6気筒ガソリン・ターボエンジン。8速ATと一体になった197psの駆動用モーターが、フロア部分に敷かれた17.6kWhの駆動用バッテリーによる電力で、アシストを加える。

BMW 7シリーズ M760e xドライブ(英国仕様)
BMW 7シリーズ M760e xドライブ(英国仕様)

BMW X5 50eほど、そのバッテリーの容量は大きくないものの、1度の充電で74kmから77km程度は走れる能力を持つ。英国の場合、自動車にかかる現物給付税の税率を低く抑えられる。メルセデス・ベンツSクラスと、良い勝負ができる。

現在のBMWは、同じシャシーに多様なパワートレインを搭載する戦略を取っている。新しい7シリーズの場合、基礎骨格をなすのはCLARプラットフォーム。バッテリーEVのi7や、市場は限定されるが、内燃エンジンだけで走る選択肢もラインナップする。

英国の場合、内燃エンジンを搭載する7シリーズはプラグイン・ハイブリッドのみ。今回のM760eのほかに、パワーを抑えた750eも導入される。どちらも、エアサスペンションと四輪駆動が標準装備となる。

ボディサイズは、先代のロングホイールベース版と比べても大幅に拡大された。全長は5391mm、ホイールベースは3215mmもある。

シアタールームのような31インチモニター

車内は広々。後席側の空間は、特に前後方向でゆとりを感じる。

試乗車にはオプションのエグゼクティブ・パッケージが備わり、シアタールームのようだった。天井に31インチの巨大なフリップダウン・モニターが据えられ、シートは深くリクライニングできる。

BMW 7シリーズ M760e xドライブ(英国仕様)
BMW 7シリーズ M760e xドライブ(英国仕様)

難しいとは思うが、フリップダウン・モニターの位置は、もう少し前方でも良いだろう。大きな映画館で、最前列へ座ったような気分になるかもしれない。とはいえ、190cm近い身長がある友人も問題なくくつろげていた。

ドアパネルには、タッチコマンドと呼ばれるタッチモニターが実装されている。インフォテインメント・システムの操作や、エアコンの温度調整などを手元でできる。子どもを乗せると、いたずらされるが。

フロントシート側も、極めてラグジュアリー。レザー張りのシートは適度にソフトで、ダッシュボード上部にはモニターが2面続いたワイドなパネルが鎮座する。大きなボディには、ちょうど良いサイズに見える。

エアコンの操作系はタッチモニターへ埋め込まれているが、インフォテインメントやナビはロータリー・コントローラーやボタンで操作でき、使い勝手は良い。他の新モデルにも、反映させてもらいたい。

インテリアのデザインには上品さが薄いものの、中国やアメリカが主な市場だと考えれば納得できる。ダッシュボードの化粧トリムは、クリスタル風に加工されたプラスティックだったが、好みはわかれるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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