4ドア+4シーターの本物 フェラーリ・プロサングエへ試乗 例えるならGTC4クロスカントリー 前編

公開 : 2023.03.11 08:25

大人4名が過ごせるゆとりある車内空間

サイドドアのうち、リア側はリアヒンジで開く。Bピラーがコンパクトで済むため、3018mmのホイールベースを有効に使える。ドアを開閉させる重いメカニズムを、剛性の高い場所へ配置することも可能になる。

前後の重量配分は49:51で、トランスアクスル・レイアウトが効いている。そのかわり、リアのシートは左右で2脚に別れており、5シーターではない。

フェラーリ・プロサングエ(欧州仕様)
フェラーリプロサングエ(欧州仕様)

車内空間にはゆとりがあり、平均的な大人がフロントシートに座っても、リア側にも大人が充分過ごせる空間が残る。リアシートは電動で折りたためる。

荷室容量は473L。フォルクスワーゲン・グループの競合モデルは600L以上を確保しているから、余裕があるとは感じないだろう。

上質に設えられた荷室を保護するため、硬いカーペットで覆えるカバーが用意されている。それでも、スキーや自転車を運びたい場合は、テールゲートにラックを追加した方が良いだろう。

しばらくして気温が上昇し、プロサングエのステアリングホイールを握れるようになった。部分的に凍った駐車場で探りを入れると、かなりの勢いでダッシュする。エキゾチックな雰囲気がある。

今回の試乗ルートは、北イタリアの雪で覆われたアルプス山脈が舞台。タイヤはフロントが235/35 R22、リアが315/30 R23というサイズのスタッドレス。除雪はされている方だが、雪道にも挑もうと考えている。

ステアコラムに固定された大きなパドル

スポーティなヒーター付きのシートが据えられた車内は、居心地ががいい。運転席と助手席を、大きなセンターコンソールが仕切る。ダッシュボードも、左右に別れた造形が施されている。ドライビングポジションは適正で、視界も悪くない。

前方を見ると、フロントフェンダーの峰が視線に入るが、ボンネット自体は隠れている。筋肉質なボディラインのお陰で、リアウインドウは小さい。

フェラーリ・プロサングエ(欧州仕様)
フェラーリ・プロサングエ(欧州仕様)

メーターパネルはモニター式。ステアリングホイールのタッチパネルには凹凸が付き、ローマなどより操作しやすい。その奥には他のモデルと同様に、ステアリングコラムへ固定された大きなシフトパドルが並ぶ。

フェラーリは、バドル操作の邪魔になるという理由で、ステアリングコラムにレバーを付けたがらない。レイアウトは走行性能を優先に決められるため、レバーよりパドルが大切に扱われてきた。

しかし、プロサングエでは使いやすさも追求されている。ダッシュボードの中央には、エアコン用のロータリーダイヤルが備わる。タッチセンサー式で、押したりスワイプすることで、送風位置などを変更できる。

独立したボタンの方が操作しやすいとは思うが、大きなモニターへ統合されているより好ましい。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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