タイプIIをご祖先に持つ最新ミニバン フォルクスワーゲン・マルチバン 長期テスト(1) 

公開 : 2023.07.09 09:45  更新 : 2023.09.21 08:29

VWの7シーター・ミニバン、マルチバン。初代タイプIIをご先祖に持つ最新版の実力を、英国編集部がじっくり確かめます。

初回 VWで最も正統派といえるミニバン

新たに長期テストで評価する、この大きなフォルクスワーゲンは、T7世代のマルチバンだ。1950年に発売されたフォルクスワーゲン・タイプIIを祖先に持つ、最新のミニバンとなる。先代のT6世代までは、トランスポーターと英国では呼ばれてきた。

欧州ではワンボックスカーの定番といえ、商用目的のバンとして活躍し、キャンピングカーのベースにもなってきた。世代交代を重ねるごとに快適性を高め、大型のファミリーカーとしても支持を集めてきた。

フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド 218ps スタイル(T7/英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド 218ps スタイル(T7/英国仕様)

モデルチェンジしたばかりのT7マルチバンだが、フォルクスワーゲンには魅力的なワンボックスカーがもう2台存在する。バッテリーEVのID.バスは既にご存知かと思うが、フォード・トランジットと共同開発となる、実務的なバンも2024年に控えている。

似たフォルムを持つ3種類のモデルが選べるようになるわけだが、フォルクスワーゲンのマルチバンはT7と名乗るだけあって、最も正統派だといえる。より自由なライフスタイルとの相性が、1番高いと考えても良いだろう。

7シーターに両側スライドドアで高い実用性

新しいマルチバンは、過去にないほど乗用車ライクになった。基礎骨格をなすプラットフォームも、乗用車のものをベースにしている。

標準で7シーターとなり、2列目が2名掛け、3列目が3名掛けというレイアウトが取られている。長期テスト車は、3列とも前を向いて座る格好だが、英国仕様には2列目が後ろ向きに座るカンファレンスシート・パッケージも用意されている。

フォルクスワーゲン・マルチバンは、早速ロックバンドのツアーバスとして活躍した
フォルクスワーゲン・マルチバンは、早速ロックバンドのツアーバスとして活躍した

ゆったり移動したいなら、セパレートシートが並ぶ6シーター仕様もある。どのレイアウトを選んでも、後方2列のシートはスライド可能。必要なら取り外してクルマから降ろせる。とてもフレキシブルな車内だ。

この実用性に目がつけられ、編集部への納車後すぐに、ロックバンドのツアーバスとして同僚へ10日間ほど貸し出すことになった。彼はドライバー兼、演奏者兼、技術者兼、ライブの運営スタッフとして活躍し、3200kmもグレートブリテン島を巡ったそうだ。

マルチバンのボディサイズは、ショートボディで全長4973mm、全幅1941mm、全高1907mm。リアシート2列をすべて降ろすと、3672Lの空間が生まれる。

彼は3列目だけを外したそうだが、ギター4本とアンプ3台のほか、キーボード1台、ドラムキット1台、ペダルボード3台、シンセパッド1台、大きな段ボール箱3つ、ギタースタンドとキーボードスタンド、5名分のスーツケース、カメラバッグ2個が載ったらしい。

ほかに、バンドメンバーが5名も。両側スライドドアで、テールゲートも大きく開き、荷物を積みやすく人も乗り降りしやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト フォルクスワーゲン・マルチバンの前後関係

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