タイプIIをご祖先に持つ最新ミニバン フォルクスワーゲン・マルチバン 長期テスト(1) 

公開 : 2023.07.09 09:45

大型の高級SUVなどが競合モデル

マルチバンが筆者の手元へ戻ってからは、すべてのシートを降ろしている。現在は自宅の倉庫にしまってあるが、1脚20kgあるため運ぶのは容易ではない。家族と移動する時が来るまで、そのままにしておこうと思う。

英国価格は、ベーシックなガソリンエンジンのライフ・グレードで4万3720ポンド(約765万円)から。1.4Lガソリンターボに電気モーター、6速デュアルクラッチATが載ったプラグイン・ハイブリッドは、約5万ポンド(約875万円)となる。

フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド 218ps スタイル(T7/英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド 218ps スタイル(T7/英国仕様)

スタイル・グレードではさらに上昇し、オプションを付けない状態でも5万9545ポンド(約1042万円)。望ましい装備が複数盛り込まれた長期テスト車の場合、6万6619ポンド(約1165万円)と、かなりの金額に達していた。

追加されていたオプションの内容は、フォルクスワーゲンの中でもトップクラスの音質を誇るハーマン・カードン・オーディオと、パノラミック・ガラスルーフ、ツートン塗装など。価格帯的に、競合モデルになるのは大型の高級SUVなどになるだろう。

運転席まわりを中心に、内装は多くのフォルクスワーゲンと同等に組み立て品質が高い。完成度が余り優れない、インフォテインメント・システムも同様だ。ただし、ステアリングホイールには実際に押せるスイッチが付いており、操作性は悪くない。

運転支援システムとして車線維持支援が備わるが、介入が煩わしいなどオフにしたい場合は、ステアリングホイール上のボタンから操作可能。タッチモニターをタップする必要はない。

洗練され運転しやすいフォルクスワーゲン

プラグイン・ハイブリッドだから、駆動用バッテリーを充電すればガソリンを燃やさず走行できる。1度の充電で30km以上は現実的に走れるようだが、筆者は自宅を出てすぐに高速道路へ乗ることが多い。市街地でゆっくり確かめてみたい。

高速道路の速度域では、内燃エンジンを駆動用モーターがアシストし、車重が2240kgある大きなボディでも必死な感じはしない。このアシストのため、常に一定の電力量が駆動用バッテリーには残るよう制御されている。

フォルクスワーゲン・マルチバンのステアリングホイールを握る筆者
フォルクスワーゲン・マルチバンのステアリングホイールを握る筆者

一般的な通勤距離で、毎日充電が可能なら、電気の力だけで平日は問題なく過ごせるかもしれない。充電環境がなかったり、長距離走行が多い場合は、英国ではディーゼルエンジンも選べる。

燃費は、今のところ平均で12.4km/L。ドライブモードに関わらず車内は静かで、高音質なステレオが美しい音楽を奏でてくれる。乗り心地は、リアシートを装備し荷物を載せた方が落ち着きは増すようだ。

とはいえ、洗練され運転しやすいフォルクスワーゲンだと感じている。最新のT7世代を、じっくり楽しんでみようと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト フォルクスワーゲン・マルチバンの前後関係

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