1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 後編

公開 : 2023.08.20 08:07

1980年代に生み出された、2+2のエキゾチック・モデル。ポルシェ、ルノー、フェラーリ、ロータスの4台を英国編集部が振り返ります。

舗装の古い区間でも一貫性の高い操縦性

ルノーアルピーヌ GTA V6ターボやポルシェ911 カレラ3.2 SEより、フェラーリ・モンディアルのトルクはクアトロバルボーレでも細め。しかし回転数が高まるほど、心を震わせるフラットプレーン・クランクの快音を放ちながら、勢いよく路面を蹴り進む。

絶対的な速さは、そこまでではない。それでもドライバーとパッセンジャーを、ドラマチックな時間で包む。

ダークグリーンのロータス・エクセル SEと、ブルーのフェラーリ・モンディアル・クアトロバルボーレ
ダークグリーンのロータス・エクセル SEと、ブルーのフェラーリ・モンディアル・クアトロバルボーレ

高速域では、落ち着いたステアリングホイールの感触が増していく。サスペンションは適度にしなやかで、バランスに長けたシャシーの能力を引き出しやすい。シリアスなスーパーカーに並ぶエッジーな刺激はないものの、得られる充足感は4台で最も深い。

ロータス・エクセルは、今回のなかでは特に本域へ迫りやすい。最高出力は、高性能な1986年式のSEグレードでも182psと控えめながら、親しみやすさでは1番。ダイレクトに反応するステアリングを通じて、路面の状態が手のひらへ鮮明に伝わる。

サスペンションのストロークは長く、乗り心地はマイルド。舗装の古い区間でも、一貫性の高い操縦性は変わらない。

ロータスのツインカムヘッドが載った2.2L 4気筒エンジンは、英国郊外の一般道にベストマッチ。圧縮比は10.9:1へ高められ、アグレッシブなカムシャフトが組まれている。ツインキャブレターへ盛大に空気を吸わせながら、目一杯回しきれる。

典型的なクラシック・ブリティッシュ・スポーツ

ロータスはエクセルを1982年に発売したが、ベースとなったのは、それまで8年間生産されていたエクラ。バックボーン・シャシーは最新ではなかったが、モダナイズされたFRP製ボディをまとい、従来以上の信頼性も目指されていた。

その大切な役目を担ったのが、駆動系を中心としたトヨタ製の安定したコンポーネント。Cd値0.32という滑らかなスタイリングも、有能なドライバーズカーとしての評価を後押しした。

ロータス・エクセル SE(1982〜1992年/英国仕様)
ロータス・エクセル SE(1982〜1992年/英国仕様)

エクセルの頂点を飾ったのが、1991年に提供されたセレブレーション仕様。グレートブリテン島南東部、ヘセル工場の創業25周年を記念したグレードで、モデル末期を控え更なる上質さが追求されていた。

特徴といえたのは、深みのある艶を放つダークグリーンの「マルケ・ロータス・メタリック」塗装と、ゴールドに塗られたアルミホイール。インテリアはタン・レザーで仕立てられ、ウールのカーペットとエアコンが標準装備された。

車内空間は、正直なところ窮屈。シャシー構造のハードポイントが車内に侵入し、レザーで覆われてはいるものの、ドライバーの膝下へ迫る。リアシートは座面が低く、膝を抱えて座るスタイル。エンジンの熱が背もたれから伝わってくる。

実際に公道を飛ばしてみると、主張されたほど高い洗練度にある高性能マシンとは呼べない。走行性能は低くないものの、ある程度の妥協から逃れられない、典型的なクラシック・ブリティッシュ・スポーツの1台に含まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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