「知るほど感慨深い」電動ロールス・ロイス 最新スペクターへ試乗 創業者の聖地を巡礼(2)

公開 : 2023.12.18 19:06

17:15 最初の大きな仕事は街灯の整備

ロイス氏の生涯を振り返ってきた今回の小旅行。ロンドンで知識を蓄えた若き彼は、マキシム・ウェストン・エレクトリック社の電気技術者として就職し、西部のランカシャー部門へ配属される。

最初に手掛けた大きな仕事が、市街地の街灯を整備することだった。劇場内の照明にも関わったが。

ロールス・ロイス・スペクター(英国仕様)
ロールス・ロイススペクター(英国仕様)

1884年からリバプールの発電施設で働き始めた彼は、街灯の設置計画と施工監督を任されていた。照明が適切に通りを照らしているか、時間通りに点灯するか、自らの足で歩いて確認していたという話が残っている。

しかし、マキシム・ウェストン・エレクトリック社は早々に倒産してしまう。技術開発へ注力し、多くの特許を取得した結果、資金的に苦しくなったことが原因だったとか。

20ポンドの貯金を持っていた彼は、友人のEA.クレアモント氏と独立。先出のFHロイス&カンパニー社を、マンチェスター・ハルムの街でスタートさせた。

感慨深い印象を生む電動のロールス・ロイス

筆者がリバプールへ到着した頃、既に日は沈み、街灯が灯っていた。ライトアップされる中心部を背景に、スペクターを撮影する。1933年に亡くなったロイスが生きていたら、明るく照らされた街並みへ感激したことだろう。

しかし、極めて速く快適で豪華な、スペクターの可能性にも言葉を失ったかもしれない。ロールス・ロイス初のバッテリーEVは、彼の足跡を知るほど感慨深い印象を生む。

ロールス・ロイス・スペクター(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター(英国仕様)

100年以上前、ロイスは当時のバッテリーの性能へ限界を感じ、電気自動車を選ばなかった。高品質な内燃エンジンを開発することで、電気モーターに迫る上質さを実現。自動車業界全体へ、大きな影響を与えることになった。

そして今、技術革新とともに理想的な電動のロールス・ロイスが誕生した。スペクターは、ブランド創業者の記憶を、何より想起させるグランドツアラーだといっていい。

ロールス・ロイス・スペクター(英国仕様)のスペック

英国価格:33万2055ポンド(約6143万円)
全長:5453mm
全幅:2080mm
全高:1559mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:529km
電費:4.6km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2890kg
パワートレイン:ツイン他励同期モーター
駆動用バッテリー:102kWh(実容量)
急速充電能力:195kW
最高出力:585ps
最大トルク:91.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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