ケータハム 7台を乗り比べ(1) チャップマンの思想を体現したセブン 最大の強みは「軽さ」

公開 : 2024.01.06 17:45

ケータハムがセブンを生産し始めてから50年 チャップマンの思想を体現したパッケージング 英国編集部が7台の比較で魅力を再確認

最大の強みは軽さ チャップマンの思想を体現

速くて軽く、純粋で楽しい。手頃なキットカーとして始まり、アマチュア・モータースポーツの定番として評価を築いたケータハム・セブンが、誕生から半世紀を迎えた。

現在は複数のエンジンやトリムグレードが用意され、シャシー幅も選択できる。だが、どの組合せだとしても、セブン級に運転する喜びを高次元で提供するモデルは、ほかに殆ど存在しないといっていい。

ビスター・ヘリテージへ集ったケータハム・セブン・シリーズ 7台
ビスター・ヘリテージへ集ったケータハム・セブン・シリーズ 7台

最大の強みは軽さ。ベーシックなシャシーに最小エンジンを載せた現行モデルの車重は、440kgだけ。マイクロカーを除いて、恐らく世界最軽量な量産車だろう。

ご存知の通り、ケータハムのセブン・シリーズの起源となったのは、コーリン・チャップマン氏が生み出したロータス・セブン。初代は1957年に発表され、3度のアップデートを受けていたが、基本的なパッケージングは継承されていた。

アルミ製の葉巻型ボディでチューブラーフレームを覆い、有能なエンジンをフロントに載せ後輪を駆動。簡素化し、軽く仕上げるという、ロータスを創業したチャップマンの思想が見事に体現されていた。

今回は、グレートブリテン島の中南部に位置する英国クラシックカーのメッカ、ビスター・ヘリテージへ、過去50年に製造された核となる7台にお集まりいただいた。記録破りの1台から、ベーシックなモデルまで、同社の歴史の生き証人といえる。

ロータスから生産・販売権を譲り受けた1973年

ケータハム・カーズがロータスからセブンの生産・販売権を譲り受けた1973年当時、展望が明るかったわけではない。英国は欧州経済共同体(EEC)に加盟し、それまで免れていたキットカーにも、VATと呼ばれる付加価値税が課せられるようになっていた。

チャップマン自身も、キットカーの販売から手を引きたいと考えていた。シリーズ4へ進化していたセブンの生産を終了する、丁度良い機会だと捉えたようだ。その頃、セブンの代理店として英国に唯一残っていたのが、ケータハム・カーズだった。

ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)
ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)

新たな工場で生産が再開されたセブン・シリーズ4だったが、ボックス状のリアのスタイリングが不評で、期待ほど売れなかった。1974年には、やむなく従来的なシリーズ3のデザインへ戻されている。

付加価値税を支払ってもキットカーの価格はお手頃で、多くのユーザーが自宅ガレージでセブンを組み立ててきた。ケータハム側も、それを推奨していた。

ところが、21世紀になって潮目が変わったと、同社モータースポーツ部門のトップで技術責任者を務めるサイモン・ランバート氏は振り返る。「わたしが2000年に入社した時、80%はキットカーでの販売でした」

「しかし、現在の割合は逆です。自分で組み立てたいという人は減っています」。1998年からキットカーに対する規制が強化されたことに加えて、現代のエンジンが複雑なことも要因のようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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