ケータハム 7台を乗り比べ(1) チャップマンの思想を体現したセブン 最大の強みは「軽さ」

公開 : 2024.01.06 17:45

ケータハム・セブンはレースには速すぎる」

ジェームス・ホワイティング氏の愛車、1977年式ケータハム・セブン・ツインカムは、そんな面倒が起こる前のモデル。彼は、半世紀ほど前からセブンの整備やチューニングを専門とするガレージを営んでおり、モータースポーツへの造詣も深い。

ケーターハム・カーズを創業したグラハム・ニアーン氏に技術が認められ、公認の整備代理店としても指定されている。そんな事もあって、状態はすこぶる良い。

ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)
ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)

その名の通り、セブン・ツインカムは1650ccの直列4気筒ロータス・ツインカム・ユニットを搭載し、最高出力は162ps。当時は、フォードのクロスフロー・ユニットを搭載したセブン GTより、上位に属するモデルだった。

1978年から、ジェームスはケータハムとスポンサー契約を結び、スプリントレースやドラッグレースへ参戦。ブライトン・スピードトライアルなどのイベントで、セブンの実力を証明してきた。近年も750モータークラブ主催のレースで、勇姿を披露している。

ただし、ロイアル・オートモービル・クラブ(RAC)はセブンを市販車扱いせず、当初はプロダクションカー選手権への参加が許されなかった。ニアーンは、「ケータハム・セブンはレースには速すぎる」とプリントされたTシャツを着て、抗議したとか。

後に参戦が認められるものの、その締め出しをきっかけにセブンによるワンメイクレース・シリーズがスタート。現在も、多くのオーナーが腕を競っている。

ステアリングと乗り心地に感服

ジェームスのセブン・ツインカムは、1970年代の雰囲気を残し、今回の7台でも特に存在感が強い。ホワイトの塗装に映えるマルティニ・カラーは、1981年から変わらないという。

14インチの205/50タイヤは、サイドウォールが厚い。コンポモーティブ社製のアルミホイールが、クラシカルな印象を強めている。

ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)
ケータハム・セブン・ツインカム(1974〜1983年/英国仕様)

トランスミッション・トンネルなど、質素なコクピット内はアルミパネルがむき出し。ダッシュボード上には、2枚の小さなスクリーンが備わるだけ。着座位置も明確に低い。ドライバー正面のメーターは、油圧と油温の2枚。速度計はない。

オーナーいわく、このセブン・ツインカムがサーキットを走るのは約30年ぶりだとか。丁寧に扱おう。

エンジンを始動させると、ビスター・ヘリテージのパドックで談笑するメンバーが振り返る。サイレンサーは非常に小さく、エグゾーストノートが周囲へこだまする。

3000rpm以下では、さほど力強いわけではない。カムのプロファイルやツイン・ウェーバーキャブレターの実力を発揮させるには、もっと回す必要がある。

今回の中では1番古くても、ステアリングと乗り心地は感服するほどスイート。さほど飛ばさなくても、完璧なバランスがすぐに表出する。残りのセブンにも共通する特徴が、しっかり備わることがわかる。

この続きは、ケータハム 7台を乗り比べ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ケータハム 7台を乗り比べの前後関係

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