見た目の違い、控えめ されど大きな走りの違い スピードとV8 ベントレー・コンチネンタルGT 比較試乗

公開 : 2022.06.03 11:55

一方コンチネンタルGT V8はどうか

コンチネンタルGT V8のキャラクターは、ひとこと「カジュアル」だ。

ただしカジュアルの定義は、前述したベントレーの流儀に則った上でのカジュアルである。

上質な「軽さ」をつむぐ要素はまずスピードに対するパワーの少なさ。4Lツインターボから550ps/78.5kg-mものパワー&トルクを解き放つユニットをしてローパワーと評するのはいかがなものかと自分でも思うが、W12ユニットを味わった後ではV8がフレンドリーに感じられてしまうのも事実である。

それは威圧感の無さ、とも置き換えられる。

1シリンダー当たりの排気量は同じく500cc以下であり、クロスプレーン式クランクシャフトを採用する振動の少なさと共にその吹け上がりは軽やかで心地良い。

低回転域では排気干渉がもたらす荒削りなV8サウンドがむしろやる気を促し、これが上昇するに従ってクリーンにトーンを揃えて行く。

ドライブフィールの違いには、エンジンのみならずサスペンション剛性の違いも大きく影響している。フロントがWウィッシュボーン、リアがマルチリンク。後輪駆動をベースとした4WDというシャシーの堅牢さは変わらない。

ただしそのエアサス&ダンパーが、より軽やかに伸縮することによって、V8ではひらりと身軽なコーナリングフィールが得られる。

実際にそのエアコンプレッションや減衰力を見比べたわけではない。車重もスピードの2310kgに比べてV8は140kgほど重たいから(というよりもスピードが軽いのだろう)、その慣性重量がロールスピードを速めているのかもしれない。

スポーツモードに転じても、電子制御デバイスをフル装備したスピードのような、地面に根を張る接地感はない。しかしそのロールスピードの速さこそが、自在感を高めているとも取れる。

ベントレー・コンチネンタルGT全グレード 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    山田弘樹

    Koki Yamada

    1971年生まれ。自動車雑誌編集部に在籍し、その後フリーランスに。編集部員時代にレースをはじめ、その経験をちょこっと活かして執筆活動中。でも、スピードの出るクルマは実は苦手です。2017年暮れに意を決して、憧れ続けた空冷ポルシェ911(993)を購入。消耗品の高さに都度涙を流しながらも、基本的には幸せ満喫中。最初はおっかなビックリだったけど、過走行でもポルシェは頑丈でした。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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