ダウンフォース300kg増! ベントレー新型『スーパースポーツ』 エアロ大幅強化、後席も外し軽量に 限定500台

公開 : 2025.11.17 17:05

ベントレーが新型『スーパースポーツ』を発表。コンチネンタルGTをベースに軽量化を図った後輪駆動の高性能モデルで、1940年以来「最軽量」の市販車とされています。後部座席を省くなどドライバー重視の設計です。

非ハイブリッド&後輪駆動化

ベントレーが新型『スーパースポーツ(Supersports)』を発表した。最高出力666psのV8エンジンを搭載した2人乗り後輪駆動ツアラーで、これまでの市販車で最もダイナミックなモデルとされている。

500台のみの限定生産で、来年3月に発売される予定だ。英国価格は約40万ポンド(約8000万円)と、現行最上位モデルのコンチネンタルGTスピードの23万7000ポンド(約4800万円)を大きく上回る。

新型『スーパースポーツ』
新型『スーパースポーツ』    ベントレー

新型スーパースポーツは1929年の耐久レースドライバー、ミルドレッド・メアリー・ペトレにちなみ「プロジェクト・ミルドレッド」のコードネームで開発された。ベントレーのフランク・ワリサーCEOは、「より過激なクルマ」を創出する取り組みの始まりを告げるものだと述べた。

現行のコンチネンタルGTをベースとしているが、ワリサー氏によれば「まったく異なる」クルマに仕上がっており、公道仕様のベントレーとして数々の「初」を実現しているという。

例えば、コンチネンタルGT初の後輪駆動モデルであり、ベントレーの市販車としては史上最大のフロントスプリッターが装備され、英国クルー工場から出荷される公道仕様車としては最大のダウンフォースを誇る。

スーパースポーツという名称は、ちょうど100年前の1925年に登場した3リッター・スーパースポーツに由来する。以来、2009年の初代および2017年の2代目コンチネンタルGTにこの名称が冠され、いずれも6.0L W12エンジンを搭載していた。

この名称はこれまでベントレーのラインナップの中で最もパワフルなモデルを示すために使用されてきたが、新型スーパースポーツは電動化と高性能EVが普及する現代において「かつてないほどドライバー重視」のモデルとして開発された。

ハードコアなドライバーズカー

鍵となるのは軽量化だ。車両重量は2000kgを下回り、GTスピードより約500kg軽く、1940年のマークV以来のベントレー最軽量モデルである。これはハイブリッド・システムを廃し、四輪駆動から二輪駆動へ変更することによって実現した。

通常アルミニウム製のルーフはカーボンファイバー製となり、低重心化に貢献。車内では後部座席が撤去され、遮音材やスピーカー数が減らされ、各種運転支援システムも省略された。

新型『スーパースポーツ』
新型『スーパースポーツ』    ベントレー

パワートレインは、ハイブリッド仕様のコンチネンタルGTスピード(合計出力782ps)に搭載されているものと同じツインターボ4.0LガソリンV8エンジンだ。

高強度のクランクケース、改良型シリンダーヘッド、大型ターボチャージャーを装着し、出力を666ps、最大トルクを81.5kg-mに高めた。これにより、1Lあたり166ps以上という、ベントレー史上最高の出力密度も実現している。

ZF製8速デュアルクラッチ・トランスミッションも改良され、新しいクラッチとソフトウェアを搭載。ベントレーによれば、特にブレーキング時のダウンシフトにおいて、より鋭く応答性の高いシフトチェンジを実現しているという。

結果、スーパースポーツの0-100km/h加速は3.7秒とされる。

非常に高速であることに違いはないが、ハイブリッドアシストと四輪駆動を備えたGTスピードより約0.5秒遅く、ライバルとなるアストン マーティンDB12 Sよりも0.3秒遅い。最高速度は310km/hとなる見込みだ(正式数値は追って発表)。

しかし、ベントレーが開発目標としていたのは純粋なパワーではなく、これまでで最もドライバー重視のクルマに仕上げることだった。そこで重要なのが、パワーの伝達方法だ。

スーパースポーツはGT3レースカーを除いて、コンチネンタルシリーズ初となる後輪駆動方式を採用したモデルである。このため、パワーを二輪で適切に処理できるよう、リアトレッドを16mm拡大する必要があった。

ソフトウェアも重要な役割を担っている。例えば、トルクベクタリングシステムとeLSDを組み合わせることで、鋭いターンインとブレーキング時のトラクションの最大化を図った。さらに、専用チューニングのステアリングとサスペンション、トラクション管理システムも搭載されている。

標準のコンチネンタルGTと同様、フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンク式アクスル、エアスプリング、後輪操舵システムを採用。ツインチャンバーダンパーは新設計だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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