ASTON MARTIN　アウトガレリア・ルーチェ企画展　5/6まで

公開 : 2018.03.10 15:10

名古屋のアウトガレリア・ルーチェの新たな企画展はアストンマーティンです。歴史の前半となる創業から半世紀余りに注目し、各時代のモデルを通してアストンマーティンの魅力と本質を探る内容です。5月6日まで開催ですのでこれからでも間に合います。

名古屋のアウトガレリア・ルーチェでアストンマーティン展が始まった。アストンマーティンの歴史は1913年にロンドンのサウスケンジントンで開業した修理工場から始まる。その車名は創業者のライオネル・マーティンが自ら造ったクルマで好成績を挙げたアストン・クリントンの地名に、自分の名前を組み合わせたのが起源である。その後ライオネルの操縦で様々な自動車競技で活躍したので、アストンマーティンの名前は、すでに生産開始前から有名になっていた。伝説のほうが先行したクルマだったのだ。アストンマーティンに注目して投資したコニサー（具眼の主）の一人にレーサーのズボロウスキー伯爵がいたが、彼の依頼で1922年のフランスGPに合わせてGPカーを開発し、2000ccクラスのライバルに対して非力な1500ccながら力強いポテンシャルを見せた。その後、伯爵はイタリアGPで事故死を遂げてしまい、財政的支援者を失ったライオネルは工場を閉めた。

しかし、ちょうどその頃、世界で最も優れたクルマを作ろうという意気込みで、1500ccクラスのスポーツカーを開発した設計者チェザーレ・ベルテリがアストンマーティンの名前を引き継ぎ、ル・マン24時間レースで活躍した。1500ccの排気量ながら常に上位に食い込み、毎回クラス優勝を遂げていたアストンマーティンは、当時1500ccクラスでは最も高性能／高品質なスポーツカーであったことは間違いない。戦後は、イギリス工業会の実力者デビッド・ブラウンのもとで再出発し、名将ジョン・ワイヤー監督の采配でル・マンに挑み、1959年には念願のル・マン総合優勝を遂げると共に、世界スポーツカー選手権のチャンピオンも獲得し、名実ともに世界最高峰のスポーツカーの地位を獲得したのだった。

1959年からアストンマーティンはF1にも進出していた。だから、今度アストンマーティンとしてF1GPへの参加を表明したら、それは1922年以来3度目のGP挑戦となるわけだ。 100年を超えるアストンマーティンの歴史の前半の半世紀余りにスポットライトを当てた今回の展示では、アストンマーティンが誕生当時から如何に高品質で高性能なスポーツカーであったのかが、垣間見ることができるだろう。この企画展は5月6日まで開催されているので、アストンマーティンに興味があれば時間が空いたときにご覧いただくことをお勧めしたい。会場へのアクセス、開場時間などはアウトガレリア・ルーチェ・ホームページでご確認を。 http://www.luce-nagoya.jp/Top.html

1932年インターナショナル。チェザーレ・ベルテリと航空機エンジンの開発者ウィリアム・レンウイックによって設計され、100人を超える応募者の中から17歳のクロード・ヒルを製図工として雇い、チェザーレの兄のエンリコがボディのデザインをして完成した。やがて国際レースの参加基準に合致しているスポーツタイプはインターナショナルと名付けられた。

1927年のロンドン・モーターショーで披露され、翌1928年からはル・マン24時間など長距離耐久レースへの挑戦が始まった。1931~1932年と連続して総合5位とクラス優勝を獲得し、1935年には総合3位、クラス優勝、性能指数賞を獲得した。展示車の次のモデルからコストダウンが図られ、ル・マンと呼ばれるモデルとなった。最後の高性能レース用モデルがアルスターである。

ベルテリ設計のSOHCエンジンの特徴は燃焼室にあり、断面がくさび型でシリンダー上面に対して斜めに他車より大きなバルブが2本並ぶ、効率のいいクロスフローだった。またル・マンでの経験からドライ・サンプを採用。エンジンのみならず、ギヤボックス、デフ、リヤアクスルなど駆動系部品は、このインターナショナル・シリーズ1までは自社製であった。

1950年DB2。ベルテリのもとで生え抜きの技術者となったクロード・ヒルは、新設計のOHV 1970ccのエンジンを造り上げ、第2次世界大戦を挟んで先進的なアトムや、戦後最初のスパ24時間レースで優勝したモデルやDB1を開発した。新オーナーがW.O.ベントレーが開発したDOHC 6気筒エンジンをDB2に採用したことからアストンマーティンから身を引いた。

DB2はヒル設計のシャシーにW.O.設計のDOHC６気筒2580ccエンジンを載せ、ル・マン24時間にも1949?1954年まで参戦し、1951年には総合3位を獲得した。しかし、ロードカーによるレースでの限界を悟り、別個にDB3やDB3Sのようなレーシングカーの開発に移行した。DB2は1950年から生産が始まり、1953年に後部座席を追加したDB2/4に代わるまで、410台が生産された。

DB2のダッシュボードはこの時代の英国車の基本文法に則っている。左ハンドルにもコンバートし易いように左右対称で、中央にメーターが集められている。とても上質な作りで、戦後のアストンマーティンの伝統となった。なおDB2/4は1957年までに684台が生産され、ボディはクローズドのFHCやオープンのDHCの他にノッチバックのハードトップ・モデルも用意された。

クロード・ヒル設計のシャシーにW.O.設計のエンジンを搭載したDB2、DB2/4の系列の最後のモデルが1957年に登場したDB2/4 Mk-3である。

ボディ・デザインも洗練された。特にこの1958年型の展示車はオーナーの好みで競技仕様に仕立て上げられ、レーシーな雰囲気を醸し出している。

W.O.計のエンジンは初期のDB2が2580cc 105馬力で、それ以来改良が続けられたが、Mk-3最終モデルの特別仕様では195馬力に到達した。

1958年のロンドン・モーターショーで、すべてが新開発のDB4が登場した。ボディはミラノのカロッツェリア・トゥーリングのデザインとスーパーレッジェーラ工法を採用した。

展示車はDB4の最終型のシリーズ5の1963年生産モデルで、1959年に登場したレース用高性能モデルDB4GTと共通のフロント・デザインを持つ。DB4は５年間で1110台が製造された。

タデック・マレック設計の6気筒DOHC 3670ccエンジンは標準で240馬力だったが、このヴァンテッジでは3基のSUキャブを備え、圧縮比も高められて266馬力を発生した。

1963年にDB4はDB5に進化した。DB5の発表と前後して封切られたイアン・フレミング原作のスパイ映画007のシリーズ第3作「ゴールド・フィンガー」で主人公ジェームス・ボンドの愛車として登場し、様々な秘密兵器を備えていることで評判を呼んだ。

世界的ヒットとなったこの映画によって、アストンマーティンはイギリスを代表するイコンの一つとなった。展示車は1964年生産モデル。トランスミッションは初期型はデビッド・ブラウン・グループの4速だったが後期型からZF製5速に変更された。

DB5でエンジンは3995ccに拡大され282馬力となった。ヴァンテッジ仕様ではウェバーの3基のキャブに変更されて314馬力となった。このエンジンは1965年以降のDB6、DB6Mk-2、DBSにまで搭載され、同じマレック設計のV8に代わるまで使われた。

会場の一画ではアストンマーティンと共にあるライフ・スタイルが醸し出された。

アストンマーティンの当時のカタログやミニカーやグッズも展示されている。

デビッド・ブラウンの企業グループ傘下にはギヤの製造会社やトラクター会社もあった。

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