ビーチバギー級の成功もありえた? ポルシェ・タイプ597「ヤークトワーゲン」(2) 現存は50台以下 カルマン製ボディの高品質
公開 : 2026.10.31 17:50
戦後のポルシェが開発した、タイプ597「ヤークトワーゲン」。妥協を許さない設計で、汎用の軍用車には過剰な性能を獲得していました。エンジンはポルシェ356用の1.5Lです。UK編集部が貴重な試作車を紹介します。
もくじ
ー選考から落ち1955年に市販モデルを発表
ー事業展開を図る中で貫かれた強固なコダワリ
ー番外編:ドイツの各メーカーが生んだオフローダー
ーフォルクスワーゲン・タイプ181(1968〜1983年)
ーポルシェ・タイプ597 ヤークトワーゲン(1955〜1957年/欧州仕様)のスペック
選考から落ち1955年に市販モデルを発表
今回ご紹介するポルシェ・タイプ597「ヤークトワーゲン」は、ポルシェを得意とするドイツの専門ガレージ、アーリー911S社がレストアしたもの。社名のとおり、普段はポルシェ911の整備を中心としている。
ボディはカルマン社製で、印象的なのが製造品質の高さ。エンジンフードは少ない力で持ち上げられ、ストラットには自動ロック機構が備わる。ソフトトップは驚くほど開閉しやすい。ヘッドライトのスイッチは色分けされ、ソリッドなクリック感が心地良い。

しかし、最終的に西ドイツ軍へ採用されたのは、DKWが提案したオフローダー、ムンガ。それにも、キューベルワーゲンの特徴は引き継がれていた。2ストローク・エンジンに独立シャシーを備え、ヤークトワーゲンよりシンプルで、遥かに安価でもあった。
選考に落ちたポルシェだったが、タイプ597には180万ドイツマルク、現代の価値で約550万ユーロ(約9億8500万円)が投じられていた。そこで、1955年に市販モデルを発表。スチール製ドアや傾斜したフロントノーズを獲得するなど、改良も受けている。
事業展開を図る中で貫かれた強固なコダワリ
ヤークトワーゲンが1960年代後半に登場していたら、ミニ・モークやメイヤーズ・マンクスのビーチバギーのように、成功を収めていたかもしれない。だが、1957年まで生産は続くが、高価なことを理由に売れ行きは極めて低調だった。
軍の要望を大幅に超えた設計で、過剰な性能が与えられたヤークトワーゲンは、いかにもポルシェらしいオフローダーといえる。フェルディナント・ポルシェ氏が、第二次大戦中にガソリンエンジンのハイブリッド戦車へ取り組んだことへ、通じてもいる。

市販モデルの生産数は71台で、現存数は50台以下だという。希少性から、その殆どはドイツの深い森を走るより、エアコンの効いたガレージで保管されているはず。優れたオフロード性能を備え、水に浮くことができるとしても。
ポルシェが主力メーカーへ成長する以前、多角的な事業展開を図る中で貫かれた強固なコダワリ。その事実を今に伝える、貴重車といえる。
協力:アーリー911S
番外編:ドイツの各メーカーが生んだオフローダー
フォルクスワーゲン・タイプ82 キューベルワーゲン(1940〜1945年)
ポルシェが後のフォルクスワーゲン・ビートルの技術を利用し開発した、4人乗りの偵察車両。5年間に約5万台が生産されている。1.0Lか1.1Lの後輪駆動だったが、軽いボディにLSDとポータルアクスルを備え、悪路性能は高かった。
DKWムンガ(1956〜1968年)
1953年に西ドイツ軍へ採用されたDKWムンガは、極めてシンプルで低コストだった。ラダーフレームのシャシーに、パーマネント四輪駆動システムを備え、エンジンは896ccの2ストローク。民間向けのモデルも販売され、悪くない評価を得ている。























































































































































