ジャガーの新型EV『タイプ01』、論争の行方は?【クロプリー英国版編集長コラム/クルマ漬けの毎日から】

公開 : 2026.10.26 17:45

ついに発表されたジャガー・タイプ01をめぐり、ネット上ではさまざまな意見が飛び交っています。本国版AUTOCAR編集長スティーブ・クロプリーによるコラムです。

ネット上にあふれる賛否両論

まさにこの原稿を書いているこの日、発表されたばかりの新型ジャガー・タイプ01への世間の反応について、あれこれ考えているうちに、私は丸一日をむだにしてしまった。

この新型車のことを、私は多くの人たちよりも詳しく知っているはずだ。というのも、実車を3度見ているし、120mph(約193km/h)での同乗走行も経験しているから。

ジャガー・タイプ01
ジャガー・タイプ01

だが、実際にはほとんど何もわかっていないことに気がついたのだ。クルマというものは、実際に路上で見て、さらに自分で運転してみるまで、評価できない。このことを今回の経験を通して再認識した。

しかし、こうした考察も、ネット上にあふれる反応の洪水を食い止めることはできない。

そうした反響のなかには「私たちは皆、誇りを持つべきだ。なぜならジャガー・タイプ01は英国車なのだから」といった、ほほえましいほど無邪気な意見から、いかにもガーディアン(英国の日刊紙)らしい予想どおりの批判的な記事まで、じつにさまざまだ。

ガーディアンは、タイプ01が英国の標準的な駐車スペースには適合しないことや、また23インチのホイールは、トヨタ・ハイラックスのようなクルマよりも大型であることを槍玉に挙げている。

ちなみに同紙はハイラックスのことを「チャドの軍事指導者が好んで選ぶクルマ」と表現している。

さらに、この記事は意地悪にも、タイプ01のCd値(空気抵抗係数)が0.23と十分に優れているにもかかわらず、最近のメルセデス、ヒョンデ、ポルシェのEVが僅差で同等以上の数値を実現していることを指摘し、タイプ01を批判している。

実際のところ、ジャガー・タイプ01について確かな結論を出すには、私たちはもっとたくさんのことを知る必要があるのだ。

プロのデザイナーからも手厳しい批評

新型ジャガー・タイプ01について、私自身の評価はまだ保留にしているが、率直な見解をぜひ聞いてみたいと思っていた人たちがいる。

それはプロのカーデザイナーたちだ。彼らはごく小さなコミュニティを形成しており、普段は踏み込んだ批評をすることには消極的だ。だが今回は、なかなか厳しいコメントをいくつか目にした。

ジャガー・タイプ01
ジャガー・タイプ01

自動車ジャーナリストで英国車の歴史に精通しているキース・アダムズが運営するウェブサイトのAROnlineには、アウディのコンセプト・デザイン・スタジオ(ミュンヘン)でかつて責任者を務めていたスティーブ・ルイスのコメントが次のように紹介されている。

タイプ01は「一貫性を欠いており、未完成に見える。美しさや感情に訴えるものも不足しており、単に怠惰なデザインに見える」。

またLinkedInには、「デジタルリーダー」として知られるイアン・マッカーサーが、タイプ01の市販モデルのエクステリアについて、「コンセプトカーよりも古く感じるし、コロナ禍を連想させるほど古い印象がある。しかも、ところどころに妥協も感じられる」とコメントしている。

ジャガーの新型車について激しい議論が続いているが、これが沈静化するのは、それなりの台数のタイプ01が公道を走るようになった時だと思う。

おそらくそれには、まだ1年ほどかかるであろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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