コーナリングも維持費も「ポルシェ水準」 カイエン(初代) ブランド初のSUV UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.21 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は

ポルシェの技術力と開発力を新しいカテゴリーへ投じることで、驚異的な能力を備えたモデルが登場した。達成した動的能力の高さを考えると、カイエン最大のウイークポイントが、スタイリングだという事実は惜しい。

それでも、能力の幅の広さには前例がない。見た目を受け入れれば、素晴らしいクルマだ。(2003年3月19日)

ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/欧州仕様)
ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/欧州仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

アンドリュー・ドイル氏

「2007年式カイエン Sを新車で購入し、今も所有しています。素晴らしいファミリーカーといえ、欧州各国を家族で旅行するなど、これまでに20万km以上を走りました」

ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)
ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)

「電気的な不具合は起きましたが、基本的に信頼性は悪くないと思います。自分は正規ディーラーへ定期的に整備をお願いしていますが、正直なところ、維持費は安くありません」

「それでも、ドライビング体験は素晴らしい。インテリアデザインには、ポルシェらしい雰囲気があります。まだしばらく、乗り換えは考えていません」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

カイエンのボディは錆びにくい。目立つサビがあるなら、事故の修復が完璧ではない可能性を疑う。オフロード走行の可能性は低いが、シャシー底面などの状態も要確認。

フロントガラス付け根のドレインが詰まると、フロント・バルクヘッドへ雨水が溜まってしまう。電気系統のダメージを生む。

エンジン

ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)
ポルシェ・カイエン(初代/2002〜2010年/英国仕様)

2006年式までのV8エンジンでは、プラスティック製のクーラントパイプが割れがち。その後、アルミ製へ置き換えられた。カイエン Sでは、12万km前後でシリンダーに不具合が生じる場合がある。アイドリング時に異音が聞こえるなら、購入は見送りたい。

ディーゼルエンジンでは、インジェクターの状態に注意。エンジンオイルは0W-40の全合成にこだわりたい。エンジンオイルの消費が激しかったり、ノッキング症状が出るなら、不調を抱えている証拠。

クーラント漏れは、エンジンを問わず珍しくない。ラジエーター下部のパイプが錆びていないか観察する。

トランスミッション

ティプトロニックは、12万km前後で内部バルブが故障することがある。積極的な加速中にパワーが不自然に途切れないか、試乗で確かめたい。

カイエンで共通して、プロペラシャフトのセンターベアリングが壊れがち。低速域でゴロゴロと、高速域でバタバタと唸るようなら要交換。トランスファーのアクチュエーターも、12万km前後で駄目になることがある。

スペンションとブレーキ

エアサスペンションは、ボディが水平に保たれているか確認する。エアコンプレッサーは、11万km前後から故障し始める。フロントロアのウィッシュボーン・アームも、不調になりやすい。

純正のブレーキパッドは減りやすく、1万6000kmほどで交換が必要になる。タイヤは、2万4000km程度で寿命を迎える。予算は予め組んでおきたい。

インテリア

リアシートを折りたたむときは、中央のシートベルト・バックルの位置へ注意。レザーシートへ穴を開けてしまうことがある。電気系統がすべて正常に動くか確かめる。メーターパネルの警告灯もチェックポイント。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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