いよいよ稼ぎ頭もEVに ポルシェ・マカン・プロトタイプへ試乗 兄弟のSQ6と異なる体験

公開 : 2023.10.11 19:05

ポルシェのベストセラーも遂にバッテリーEVへ ターボは611ps以上 内燃エンジン版も平行販売 英国編集部がひと足先に試乗

アウディQ6 eトロンと並行して開発

ポルシェの電動化が更に1歩進む。中型SUVのマカンが、バッテリーEVへ進化する。

フォルクスワーゲン・グループの最新プレミアム・プラットフォームを採用し、電動パワートレインの制御電圧は800V。アウディQ6 eトロンと並行して開発が進められており、タイカンに次ぐ、2番目の電動ポルシェとなる。

ポルシェ・マカン・ターボ・プロトタイプ(北米仕様)
ポルシェ・マカン・ターボ・プロトタイプ(北米仕様)

既にほぼ仕上がった状態にあるようで、2023年末からドイツ・ライプツィヒ工場で生産が始まる。今回筆者は、そのプロトタイプの試乗へ招待された。

BMW iX3などのライバルより登場は遅れたが、パワートレインや様々なシステムを制御するネットワークの開発へ手間取ったらしい。また、インフォテインメント・システムや運転支援システムなどを統合するソフトウエアにも、時間が必要だったという。

「複雑さを増すソフトとネットワーク化は、すべての電気自動車にとって重要な課題です。クルマをお客様へお届けする前に、すべてが開発の新基準へ達しているか確認する必要がありました」。開発を取り仕切る、同社のロバート・マイヤー氏が説明する。

バッテリーEVのマカンは、内燃エンジンを搭載する現行型のマカンと、世界の市場で当面は並行して販売される。モデル名は共有するものの、設計やデザインなどは大きく異なっている。

テールゲートが寝たリフトバックスタイル

プロトタイプのボディは偽装されていたが、タイカンへ似たヘッドライトなど、差別化されているのがわかる。ホイールアーチは拡大され、ドアはフレームレスだ。

リア側は、現行のマカンよりテールゲートが寝かされたリフトバックスタイル。クーペのようなシルエットを生み出している。リアガラスの付け根には、4段階に変化するリアスポイラーが載っている。

ポルシェ・マカン・ターボ・プロトタイプ(北米仕様)
ポルシェ・マカン・ターボ・プロトタイプ(北米仕様)

アルミホイールのデザインも専用となり、最大22インチまで選択できるそうだ。標準では19インチになる。

インテリアについては、まだ詳しくお伝えできないが、こちらも現行マカンとは違う。ダッシュボードは、最近フェイスリフトを受けたカイエンに近い。マイヤーによれば、市場によっては大きなグラスルーフが載る予定らしい。

メーター用モニターとインフォテインメント用タッチモニターが独立しており、シフトセレクターはダッシュボード側に位置する。着座位置は低い。ルーフラインの影響で、リアシート側の空間は若干狭くなっている。

パワートレインは、シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が予定されている。ニッケル、マンガン、コバルト(NMC)を正極材に用いた三元系の駆動用バッテリーの容量は約100kWhで、航続距離は500km以上になるという。

急速充電能力は、最大270kWまで。最短4分で、100kmぶんの電気を蓄えられる計算になる。リアアクスルへ2速ATが組まれるタイカンと異なり、マカンには1速リダクションギアが組まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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